なぜ“津島”なのか】⑧/故郷で看護師に
vol. 15 2023-04-15 0
津島の開拓農家で育った今野千代さんは中学卒業後、一旦故郷を離れたが、21歳の時、准看護婦として津島診療所に就職し、39年間、津島住民の健康管理に尽力してきた。
患者さんが飲むべき薬を取りに来ないと隣人に電話してと頼む。薬を飲み忘れがちな人には、薬の袋に「忘れずに飲むこと」と書置きする。やっと来た患者に「また来てね」と声をかける。そんな千代さんの対応に驚く記者たちに「家族ですから。患者さんの子や孫は自分の子や孫だと。だから患者さんたちも私のことをそう思ってくれていると思います」
千代さんが手術し入院すると、「いないと寂しいから、早くよくなって帰ってきてください」と診療所に手紙をよこした患者さんもいた。
津島で育った看護師だからこそ、住民の患者たちの顔色や様子をみれば、その異常な状態が一目でわかる。「私にとって故郷で看護師ができたことは幸せでしたね」
(写真・今野千代 提供)