【なぜ“津島”なのか】④/放射能測定と手紙
vol. 11 2023-03-30 0
津島・赤宇木地区で農業を営んできた今野義人さんが、自分たちが暮らしてきた集落一軒一軒の放射線量を測り始めたのは、原発事故から3カ月経った夏だった。集会場で百数十マイクロシーベルト/時という高線量だと知らされた。「放射能がどのように身体に影響を及ぼすかわからなかった。じゃあ自分たちで測ってみようと」と決心した。それから10年以上、義人さんは仲間2人と毎月下旬に測り続けてきた。
結果は、全国に散った60戸ほどの赤宇木住民に送り続けた。そんな義人さんの手紙に元住民たちから「報告ありがとう」と返事が返ってきた。「じゃあ集落の様子をもう少し詳しく報告しよう」と季節ごとの変化を書き添えた手紙になっていった。
「待っている人がいるとなれば、下手な文章でも少しでも津島の状況を懐かしんでくれればいいのかなあ」と義人さんは笑った。