【なぜ証言映像なのか?】⑦ 人の心を射抜く“強い”言葉と表情
vol. 7 2023-03-16 0
もし映像でそれを表現しようとすれば、どういう手法が可能だろうか。思いつく手法は、その証言者の語りの中から、「状況説明」ではなく、深い心情を吐露した証言部分を抽出していく。その間隙を字幕で「状況説明」と当時の歴史映像や写真で埋めていく。つまり、観る人の心を射抜く“強い”言葉と表情だけを選び抜き、それを文字と資料写真、資料映像でつないでいく手法だ。
所詮、文字による証言作品と映像による証言作品は“まったく違う性質と役割”を持っているということだろう。私に関して言えば、長年、文字による証言ルポを書いてきたが、その能力の限界を実感し、いま「活字よりも映像の方が向いている」と自覚し、残り少なくなった人生の時間を、証言映像の作品作りに懸けてみようと考えたのである。