【なぜ証言映像なのか?】③/人間としての力量
vol. 3 2023-03-07 0
「原発事故がもたらした事象・体験を伝えるだけではなく、それを突き抜けた“人間の普遍的なテーマ”に迫る”言葉」つまり「故郷とは何か」「家族とは何か」「幸せとは何か」「生きるとは何か」「人間の尊厳とは何か」という深いテーマに触れる言葉をどうすれば証言者から引き出せるのか。
もちろん証言者がそういう問題意識を持っているかどうかは大きな鍵となるが、“聞き手”自身がそういう問題意識を持っているかどうかは決定的な要素となると私は思う。人は生きている限り、それを言語化できるかどうかは別にして、否が応でも先の根源的な問題と向き合わざるを得ない。人生を左右する大惨事を体験した人ならなおさらである。それを言葉であれ、表情であれ、表現させられるかどうかは、“聞き手”の“人間として力量”にかかっているような気がするのだ。
(写真・映画「福島は語る」より)