塚田万理奈監督長編デビュー作『空(カラ)の味』について
vol. 5 2021-01-28 0
1月27日に塚田万理奈監督の長編デビュー作『空(カラ)の味』のオンライン上映会と監督とキャストによるトークイベントを開催しました。
このイベントの趣旨は『刻』クラウドファンディングを盛り上げる為だったのですが、改めて『空(カラ)の味』という作品の魅力を再認識させてもらえる貴重な場になったと思います。
『刻』のプロデューサーをさせて頂いている私が最初に『空(カラ)の味』を鑑賞したのは2017年春頃の試写会でした。私が制作協力した日韓合作映画『大観覧車』で堀春菜さんと知り合い、堀さんのマネージャーさんから『空(カラ)の味』の試写会に誘われたのがきっかけでした。
その時の衝撃は今でも覚えています。塚田監督と出会ったのもその試写会が初めてでした。
今回のオンライン上映後も「辛かった」とSNSで書かれている方がいましたが、僕も同じような感触はありました。映画とは笑い、感動、怖さなどの非日常的な体験ができるのが醍醐味だと思いますが、痛みや辛さを感じるのも映画の楽しみ方の一つだと思っています。ハリウッド映画のような大作も大好きですが、『空(カラ)の味』のように作家性の強いアートハウス映画を観る時間も僕にとっては最高の娯楽の一つです。
『空(カラ)の味』が田辺・弁慶映画祭で2017年に初上映され、2018年に劇場公開され、今回のオンライン上映までのTwitterの投稿を見ていると、いかに多くの人々に共感されているのかがよく分かります。
僕は毎日映画を観るような人ではないので映画ファンの皆さんほどたくさんの映画は観ていませんが、『空(カラ)の味』は今まで観た日本の若手監督の長編デビュー作としては一番面白いと思っています。しかし内容が監督自身の体験でかなりパーソナルなので、今後監督としての活動を続けていくとしても『空(カラ)の味』を超えるものは作れないだろうと思っていました。
そしたら2018年頃に塚田さんに新しい企画があるから、プロットを読んで欲しいと言われた時にはどんなストーリーだろうとワクワクしました。早速あらすじ読んで、感動して泣いてしまったのを覚えています。それが『刻』です。
『刻』も塚田監督自身の体験をベースにしていますが、『空(カラ)の味』は塚田さん自身の苦しみを描いているのに対し、『刻』は塚田さんの周りの小さな世界で実際に起こった10年間の壮大なドラマが描かれています。そういう意味で『空(カラ)の味』を超えれるかというような比較は難しく、全く違ったものになると思っています。
その後助成金も獲得して、塚田さんに脚本を書いてもらいました。僕は脚本の書き方は国内外の学校やワークショップで勉強したり本もたくさん読んだので、正しいのかどうかは分かりませんが自分が信じている手法に従って分析したりするのですが、『刻』に関しては脚本の理論とか関係なく、素晴らしい映画を観終わった時のような強烈な余韻が残りました。今の脚本だけで十分であり、その後こうしたらいいとかああしたらいいとかいうやりとりもしていません。第一稿のナマの状態のままです。
『刻』の脚本に描かれている事は壮絶なドラマなのですが、全て塚田さんの周囲で実際に起こった出来事のようです。一方、僕の中学、高校時代は特にドラマみたいな事は何もありませんでした。特に誰かに伝えるようなストーリーもありません。なぜ塚田さんの周りでは都合よくドラマが起こるのかと考えたりしましたが、しかしよくよく考えてみると、誰の周りにもドラマは起こっているのかもしれません。それに僕が全く気がつかなかっただけで、塚田さんは周囲に起こっている出来事にすごくセンシティブなのかもしれません。塚田さんは身近に起こっているけど僕には見えていない面白い世界に連れて行ってくれる監督なのかもしれません。
そんな塚田監督だからこそ、『空(カラ)の味』オンライン上映会の後のトークイベントに、キャストのみんなが集まってくれたのだと思います。役者さんたちのトークを聞いていて、僕自身、大変勉強になりました。みんな素晴らしい人たちですよね。1時間があっという間に感じるほど楽しかったです。トークは少し編集して近々アーカイブでアップしようと思っていますので、少々お待ちください。『空(カラ)の味』本編はクラウドファンディングの特典にも入ってますので、見逃した方はご支援いただいてご視聴頂ければ幸甚です。既に観て頂いた方もご支援頂ければ『刻』実現に向けて大きな力となります。
上映イベントが功を奏したのか翌日にはクラウドファンディング300万円を突破しました。ご支援頂いた方々、ご視聴頂いた方々、SNS等で広めて頂いた方々、トークイベントに登壇して頂いた堀春菜さん、笠松七海さん、柴田瑠歌さん、松井薫平さん、イワゴウサトシさん、林田沙希絵さん、ありがとうございました!
イベントが皆さんに喜んで頂け、ご支援も増え、1000万円達成に向けて現実味が増してきました。今後のイベントではタイ、シンガポールの監督の16mmで撮影された短編映画のオンライン上映や各作品の監督と塚田監督との対談を計画しています。金銭的なご支援だけでなく、そういったイベント等への作品提供やご登壇含めて、様々な形でのご支援をお待ちしておりますので、アイデアのある方は私までご連絡頂ければ幸いです。
『刻』のSNSも以下の通り開設しておりますので、フォローもして頂ければ更に嬉しいです。
Facebook: https://www.facebook.com/tokifilm
Twitter: https://twitter.com/tokifilm
Instagram: https://www.instagram.com/toki.film/
ハッシュタグ: #刻
目標達成に向けて頑張って参りますので、引き続きよろしくお願いします!
映画「刻-TOKI-」実行委員会
プロデューサー 今井太郎
tokifilm.cf@gmail.com