テープ起こし3 ノーマル・ハートミニ講演会(4/14開催)
vol. 29 2019-04-26 0
4/14(日)に、東京は清澄白河のしごとバーで、開催された北丸雄二氏のミニ講演会の様子を、本日、順次テープ起こしして、クラウドファンディングが終了するまでアップしていきます。
ライブ感を重視して、いまテープ起こしした、そのままを掲載!
しごとバー:え……(絶句)「ちょっと、来い」って……呼び出したんですか?(場内爆笑)
北丸:いや、実際は「ちょっと、来い」って呼び出したんじゃなくて、手紙を書いたの、彼に。彼のマネージャーを通して。
「おまえ、この観客の女の子たちのなかに、レズビアンの子、いたらどうすんの。ときどき男の子たちが混じることもあるけど、ゲイの子が来てるかもしれない。それに対して君は、そういうことを言っていいのか?」ってな……もちろんそんなきつい言い方じゃなくて大人からの忠告としてのデスマス調で(笑)
マット・デイモンとベン・アフレックという有名な俳優がいるのは皆さん、ご存じだと思いますが、ふたりの仲がとても良いので、あるとき記者会見で、「あなたがた、ゲイだって噂がでてますけど…」って聞かれたことがあるんです。そのときに、マット・デイモンは「そんな、ゲイだなんて、気持ち悪い」とは言わなかった。マット・デイモンがそのとき、なんて答えたと思います? ときはまだ90年代ですよ。
「そういうふうな質問をされて、僕がゲイじゃないって答えたら、ゲイであることが、なんだかものすごく悪いことのように聞こえてしまう。だから僕は、その質問には答えません。ぼくはゲイだと思われてもいいし、そういうふうに思いたい人は、どうぞ思って下さい」って答えた。
もうひとつ。『エックスメン』のパトリック・スチュワート。シェイクスピア俳優の大変な名優なんですけど、やっぱり、ゲイの役をやったときに、いろんな友達が、みんな心配してくれると。ゲイの役なんかやっていいのかって。そのとき、パトリック・スチュワートがなんて答えたか。
「私はいままで、殺人犯の役もやりましたけれど、誰もそんな心配はしてくれませんでした。どうしてゲイの役をやるときだけ、みんなそういう風に言ってくるのか。私にはゲイの友達はたくさんいるけれども、私が気をつけなくちゃいけないのは、そのゲイの友達に対して、はずかしくない演技をすることだけです」って言った。
そのふたつのエピソードを書いて送ったわけです。そうしたら、その彼、翌日から、がらっと演技が変わった。ものすごく良くなった。すごいよねえ、若さってのは。それはとても感動的でした。
つまり何が言いたいかというと、思考回路なんです。ちょっとそういうところにつなげてやれば、その若手俳優のようにすぐわかるんですよ。けれども、十年前の日本には、そういう回路がなかった。そういう話があることさえ誰も知らなかった。
ゲイはどういうことなのかも、だれも知らない。だって当時、「潜伏二丁目ルポ!」っていうような、深夜のワイドショーをやっていたりするわけですよ。気持ち悪い人たちだと、セックスの化け物だと思われていたわけです。でも、ちょっと思考回路をつなげてやると、ドミノのようにパタパタといろんなことが分かるようになる。
そんな『アルターボーイズ』も、そこから十年続いて、前回は2年前だったんだけど、2年前は、LGBTって言葉がそんなには知られていなかったのに、今回は、二十歳そこそこの若い男の子たちがみんな、LGBTって言葉を知ってるわけです。ぜんぜん抵抗がなくなっている。むしろ、ゲイの役をやるのが、「おいしい」っていう。
(27:19まで)