3.11以降、「測定」がすべての根っこである理由 vol.4
vol. 13 2021-04-08 0
自分の無力さを痛感しながら、繋がり0のところからはじめた福島往復は週刊朝日での連載「From F」に結実し、その連載が生んだ新たな展開もあった。
僕はもともと雁屋哲さんのファンで、特に好きなのは『美味しんぼ』よりも『野望の王国』。2012年夏、オーストラリア在住の雁屋さんが日本で、田中優さんとネオニコチノイドについて話す企画があった。
当日、雁屋さんはお話で「僕は今福島に通っていて」と仰る。ふんふんと聞いていると、「福島大学の先生方から話を聞いていて」とのこと。イベント終了時、持参した『野望の王国』にサインをいただきながら「福島大学の先生方って、どなたに会っているんですか?」と聞いた。雁屋さんは『野望の王国』を手に「これが好きって人には気をつけないと」と笑いつつ、「うーん、それは、雑誌に載っていた方々がいてね、、」「実は私も、福大の先生方の連載担当で、、」「え!それは、、週刊朝日の??」「おぉ、はい!『From F』という」。そこで雁屋さんはガタッと椅子から立ち上がり、両手を差し出され熱く握手してくださった。
その後、楽しみにしていた「福島の真実」編は大きな物議を醸すことになる。「From F」に登場いただいた先生方のうちの何名もが『美味しんぼ』に登場され、研究者の立場から、それぞれの専門を通じて福島の現状について語られていた。それらはしごく冷静な、事実に基づく見識だった。
この一連の、当然予想外で嬉しい雁屋さんとの初邂逅は、3.11から1年以上が経ち、2011年10月から半年間続いたFrom Fも終わり、自分の福島往復もひと段落した頃だった。
The 10th FUKUSHIMA, Nippon AWAKES発起人 平井有太