現代の茶人からの応援メッセージ vo.16 根角厚司
vol. 16 2019-08-08 0
日本茶ドキュメンタリー映画製作チーム、高津です!
いよいよ、クラウドファンディングも残り6日となりました!!
ぜひぜひ、皆様の応援・ご支援いただけたら嬉しいです。
いただいた熱量を一人でも多くの、未来の日本茶ファンに届けるべく、
引き続き全力疾走してまいります。
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今回の応援メッセージは、日本茶の育種家、根角厚司さんです。
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今回のロケで、最も東京から離れた場所となった、鹿児島・枕崎。
九州南端のこの場所で、20年後の未来を見ながら仕事をするプロフェッショナル、
日本茶の育種家と、その最盛期の現場を取材させていただきました。
育種というのはわかりやすくいうと品種改良ですね。品種を作っていく。今あるものを改良して、よりいいものに作っていくというのが仕事です。
何を改良するかというのが問題ですが、生産者に対して有用な改良というのは、収量性とか、寒さに強い、病気とか虫に強いというような特徴を新しい品種につけていく改良。そして流通や消費者に対する改良では、美味しいということが非常に重要になってきますので、今で言えば、アミノ酸をもっとたくさん含むお茶ですとか、香りが強いお茶、最近では、お茶の健康機能について非常にニーズが高まっていますので、機能性成分がたくさんあるお茶多く含んだお茶を作るということも育種の目標となってきます。
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一般的に、一つのお茶の品種ができるまでには、約20年の年月がかかると言われています。
根角先生とそのチームも20年後を見据えながら、足元の地道な作業に汗を流しておられました。
育種というのは、長く、20年とか30年の時間を要しますけども、ずっと見ていくと、毎年毎年成長していくわけで、自分たちが子供を結婚して子供を産み育てる期間と似ていると。どうやっていい面を引き出してやろうかと考えて、それが実際上手くいって世の中に認められるというようになった時おそらく、自分が育てた我が子が世の中で評価された時と同じ喜びでないかと思うんですけども。そこに向けていろんな仕事ができるというのは楽しいです。
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育種家に必要なものをお聞きしたところ、その答えは「あったらいいな!」の想像力。
足はしっかりと大地につけながら、空想はずっとずっと遠くへ。
育種家という仕事の面白さ、職能かもしれません。
今スマホを持っているというのを、今50代60代の人たちが若いときに想像もできていない。そして、今の若い子たちは、日常の中にありますよね。その中間の二十歳前後の人がそれが出てきて柔らかい頭で使いこなしている状況だと思うんですけど。おそらくお茶も想像もできないようなものを作らないといけないんですけど、ドラえもんのポケットと一緒で、「あったらいいな」なんですよ。
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毎日、日本茶に向かう根角先生。しかし、お茶への好奇心や分からないことが減っていくことはなく、日々増えていく、そこがまた面白いそうです。
コーヒー、ワインもお酒も、大好きでして。どれが良くてどれが悪いということでなくて、どれも惹きつけられるものだと思います。ただ、なぜお茶に惹きつけられているのかと言いますと、他の嗜好品と同じように、いくらやってもゴールが見えてこないというところが一つあると思います。おそらくこの1000年いろんな人が研究をやってきたと思いますが、いまだにわからないことだらけで進化し続けていると。そういったところが魅力であり、そして美味しいがついてくると。日々日常の中にあるということも魅力の一つと思います。
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最後に、あえて「日本茶」を定義するなら?という難しい質問をさせていただきました。
その答えは「日本茶はまだまだ進化する。その時の日本茶が日本茶。」というお答えでした。
お茶の木をいかにして、美味しく飲むかというのは、もっと前から試されていたと思います。ただ、日本の風土技術食べ物にあったように進化してきたものが日本茶だと思います。そういう意味でいうと、日本茶というのはこれというよりも、これからも変化していくし、多様になっていく可能性もあるので、日本の技術、風土、作り手のマインドですね、そういったものも含めて、もうこれ以上ないよというのがうまくできて、それが日本茶ということになるんじゃないかと思います。
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新しい日本茶の品種という、未来の日本茶ファンへの贈り物が、
根角先生たちの手で、今も九州の南端の枕崎で育まれています。
チーム育種家とその仕事場の風景。ぜひ、本編でご覧ください!
日本茶ドキュメンタリーチーム
高津 真