現代の茶人たちからの応援メッセージリレー vol.12 心向樹 川口史樹
vol. 13 2019-07-30 0
お疲れ様です!日本茶ドキュメンタリー映画製作チームの高津です。
いよいよ、クラウドファンディングも残り15日。
ラストスパートに入る前に、少しでも前に走ってまいります!!
引き続き、応援よろしくお願いします。
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今回の応援メッセージリレーは、埼玉県、品種茶専門店 心向樹の川口史樹さんです。
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川口さんは、かつてはユーカリの木を専門とする研究職のお仕事でしたが、ある日、お茶の担当となり、その中で出会った一杯のお茶に心を奪われ、品種茶の専門店を開業されるに至りました。
川口さんは、茶業界の外と中の両方の視点を持って、現在そして未来のお茶を分析し、言語化して伝えてくださいます。
まず、川口さんには、様々な日本茶がある中で、いわゆる「山のお茶」と「里のお茶」という、育つ場所で生まれるお茶の個性について聞いてみました。
まず山のお茶なんですけど、山のお茶は何と言っても香気、香りですね。これは皆さん今なかなか飲むことが難しいかもしれませんが、山の香りって、何て言うんでしょうかね、澄んでいると言うか、鼻にこう、鼻からスッと奥まで入ってきて、また綺麗に引っかかりもなく抜けていく、それでいてこうすごい爽快な香り、ミントとかとお茶の香りのタイプは違うんですけど、でもそう言ったような香りにすごく近くて、爽快感を味わえると言うのが、山のお茶の特徴。逆に味でいうならばキレがありますね。変に口の中で長く滞留しないというか、味があるんですけどスパッと切れるんですよね。そこのキレの良さというのも山のすごい特徴だと思います。
対して標高の低いところのお茶のメリットをいうならば、その一つは香りでなく味、滋味の方だと思っています。そこはこう、渋みもそうだし旨みもそうだし、味の濃さとか厚みとかインパクト、最初に口に含んだ瞬間のインパクトでいうならば、やはり平場のお茶の方がボディというのは非常に強く感じる。そこは平場のお茶のいいメリットだし特徴だなというふうに思っていますね。
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川口さんといえば"品種"。戦後、日本の茶業かいを支えた不動のエース品種"やぶきた"。現在において、やぶきたをどう評価するか。そして新しい品種が生まれてきた中で、私たちにはどんな日本茶の楽しみが広がっているのか聞いてみました。
スーパー品種”やぶきた”が普及したことのメリットは”やぶきた”はやはり高品質なので、出来のいいお茶が安く大量に消費者に届けられるようになったというのは”やぶきた”の功績だと思いますね。だからお茶というのがここまで広がったし、世の中に受け入れられる存在になれたと思います。やはり”やぶきた”というのは生産の面から見ても製造流通から見ても、やはりこう、いいですよね。ただ、一つの欠点としては、やぶきただから出せる味があるのですが、”やぶきた”なので”やぶきた”では出せない味もある。
シングルオリジンはシングルオリジンの良さがあるし、ブレンドはブレンドの良さがあるんですけれども、そこに今、時代が変わってきて品種が入手しやすいし、品種への注目が上がっている中で、当然そのやぶきたをベースにしたというところは変わらないのですが、そこからやぶきたでは表現できなかった味を、他の品種を使うことによって表現していく。そこはフローラルな日本茶や、花香がついた日本茶というのは、通常生活しているとあまりイメージできないんですけれども、でも今後は、味はやぶきたなんだけど、香りはそのフローラルなところをいれて、ということもできるし、あるいはすごく渋くて、でも香りはやぶきたの香りができたりとか。いろんな可能性がありますよね。シングルの楽しむ、年の良し悪しだったり、品種の良し悪しというのはシングルで楽しむべきだし、ただ、お茶としてのより今までできなかった価値を作り出すのはブレンドなのかなと思いますね。
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現在は、日々、お客様と産地を行き来しながら第一線で活躍する川口さん。
「現代人は日本茶から離れていってしまったのか?」という質問に対して、茶茶の間 和多田さんのお話とも通ずる感覚を教えてくださいました。
実は若い方はリーフのお茶を求めなくなったと言いいますか、受け入れないわけではなくて、出会う機会が減ったというのが正しい状況なのか、用語なのかと思いまして、私もいっぱいのお茶から大きく人生が変わったんですけど、そういった本来のリーフのお茶の魅力に気づく機会がないだけであって、選択肢としてリーフのお茶というのが土俵に上がれていないだけなんだと思うんですよね。
おそらく多くの方も同じ状況だと思うんですね。その魅力を知っても「リーフティー飲まないよ」という方も当然いらっしゃると思うんですけれども、私と同じようにリーフティーの魅力を受けれるといいますか、こんなにすごいんだという風になって、そこからお茶への見方が変わって、多くの経験を得ることができると思いますので、何度も言うようになるんですけど、本当のリーフのお茶というのをいかに体験してもらうか、飲んでいただくか、そういった機会が特殊な場・機会だけでなくて、日常にも提供できる、普通の生活していても出会えるくらいのところまで落とし込めればですね、多くの方がリーフのお茶の本当の意味での魅力を知っていただけるんではないかと思いますね。
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川口さん自身も、ある日本茶との「幸せな偶然」から、お茶の魅力に目覚めた一人。
最後に、未来の日本茶ファンへのメッセージをいただきました。
お茶は本当に面白くて、私も毎日が発見や勉強の連続で、一つ前のことを知るともっと知りたくなるという不思議な力があるので、お茶を一歩前にで飲んでみたら、新しい発見や出会いがありますので、ぜひまだみぬお茶の魅力を探しにいっていただければなと思います。本当にオススメです。
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川口さんの語る、現在そして未来の日本茶。ぜひ本編でご覧ください!
日本茶ドキュメンタリー映画製作チーム
高津 真
▼映画公式HP▼
https://teafilm2019.ufoinc.jp