現代の茶人からの応援メッセージリレーvol.9 豊好園・片平次郎
vol. 10 2019-07-19 0
応援メッセージリレーvol.9は、静岡県の両河内(りょうごうち)の片平次郎さんです。
私が出会ってきた日本茶に携わる人たちは、とにかくお茶のことが大好きな方がたくさんいらっしゃいますが、その中でも、次郎さんのお茶とお茶づくりに対する愛は、特別熱いです。
そして、これからの日本茶を担っていく世代である次郎さん。過去から今、そして今から未来へ。
日本茶と喫茶文化を紡いでいく主役に、日本茶の魅力を聞いてみました。
蒸し製緑茶の魅力、もちろん僕はフレッシュな鮮度感のものの方が好きなんですけど、多分そういったものよりもっと単純で、二度と出会いないものになっている。僕の場合は二度と出会えないものですね。うん。やっぱお茶を、お湯を入れて出してどうぞ、渡す。もう二度と淹れた味が出ないから、そこが一番のいいところなんじゃないかと思います。
乗馬と一緒。昔は馬乗ってたけど今は車。今馬に乗るのはわざわざお金払っても楽しいから。急須で淹れるお茶も同じ。二度と出会えないってそういうこと。
二度と出会えないお茶。その一服を、一緒に飲む人とじっくり味わうとう幸せ。
次郎さんがお茶をつくる時にどんなことを考えているかもお聞きしました。
一番大事にしているのは、めんどくさいことを楽しむ人に向けたお茶を作ること。で、結局、日常じゃなくなったので、急須でお茶を飲むシーンが。なので、わざわざこのよくわからない急須っていうものに乾燥した茶葉を淹れてお湯を入れてというめんどくさいことを楽しむ人にどれだけドキドキするものを与えられるかはすごく意識してお茶を作っています。日常にならないこと。日常になるものはなるものでいいんですけど。非日常を最高に楽しんでもらうお茶を作ることをすごく意識しています。
日本茶の魅力に魅せられている次郎さん。一方、茶業の現実として、次郎さんと同世代の茶農家が減ってきているという現状があります。未来に日本茶を紡ぐための担い手。その担い手を生むために大切なことを聞きました。
一番大事なのは、安定して生活ができる事、次にどこかのサラリーマンになるより、お茶農家の方が儲かること。それにつきるかも。全て自分で決めて自分次第になってくる。天候の問題もあリますけど、農業やってて、プロってどんな年でも同じ安定した収入を得ることができるかなんで。サリーマンで、法人で農業やる従業員みたいな人もいるけど、まあ安定して農業やること、僕はちょっとそこには魅力を感じていなくて。どうせやるならあんたじゃなきゃダメだみたいなものを作っていくことが。それが一番の魅力かな、と思います。
そして、人と一緒に日本茶を育む土地。日本の茶畑では、急速に耕作放棄地が広がっております。そこへの思いも教えてもらいました。
やめていかれる農家さんにはいろんな理由がある。今まで続けてくれた方はお茶が好きな方。僕らにできることは、条件のいい畑なら、僕らが管理して次の代、また次の代に続けたい。やめていくペースが早すぎるが、残せるものは残していきたい。僕ら茶園に育ててもらったんで。
最後に、茶農家のお仕事で、一番大変なことをお聞きました。
茶農家、大変だと思ったことがないです。
グリーンドリーム。ピース。
日本茶ドキュメンタリー映画製作チーム
高津 真