映画の進捗に関するご報告
vol. 21 2026-04-26 0
大変ご無沙汰しております。
本作監督の長岡参です。
皆様には、長い間進捗をご報告できておらず、ご心配をおかけしました。
まず、そのことを深くお詫び申し上げます。
この間、制作そのものが止まっていたわけではありません。ただ、あまりにも多くのことが変わってしまい、何を、どこから、どのようにお伝えすればよいのか、長い間わからずにいました。
4月頭に岡本よりたかさんともお会いし、今後について話をしました。
そのうえで、改めて皆様に現在の状況をご報告いたします。
まず結論から申し上げますと、本作は現在、完成に向けて編集作業に入っています。
さらに数回の追加撮影を行い、なんとか今年度中の完成を目指しております。
なぜ、これほど制作が遅れてしまったのか。当初の大きな理由は、皆様もご承知の通り、コロナ禍でした。
取材も移動も、思うようにできない時間が長く続きました。もう思い出せないほど、長い待ちぼうけの時間がありました。
その間に、当初メインテーマとしていた種苗法の改正もあっさりと、知らぬうちになされ、社会の空気も、食や農をめぐる状況も、世界そのものも、2020年当時とはずいぶん違うものになっていきました。
少し、恥ずかしい話をします。
本作はもともと、僕が事務所を置いていた徳島県神山町の仲間たちと立ち上げた新会社で、クラウドファンディングを開始した作品でした。しかしその後、制作母体であった会社の体制が崩れてしまいました。コロナ禍の影響も重なり、あらゆる仕事が止まり、作品を前に進めるための足場そのものが、一度失われてしまいました。撮影は続けていましたが、本当に不安定な状況でした。
その後、高知の知人の会社に役員として関わることになり、その会社の事業として、映画の制作を続けられることになりました。また、古代から続く雑穀の種を様々な場所に撒く活動をされているアースデイ・ジャパンのファウンダーである谷崎テトラさんを、岡本さんに続く重要な登場人物として新たに迎えました。
岡本さんへの取材を継続しながらも、沖縄・久高島、山梨県の山間部、長崎県対馬、奄美大島などにも足を運びました。
対馬では、相川七瀬さんの取り組みや、「寄神」と呼ばれる風習を取材しました。
奄美大島では、ショチョガマと呼ばれる、穀霊を海から呼び寄せる行事を撮影しました。
クラファンの資金はとうに尽き果て、当初の予算より何倍も制作費は膨れ上がりましたが、やっとみなさまに作品の進捗が可能になったと安堵していた矢先、理由も明瞭にわからぬまま、前述の会社から解雇され、最後まで制作費の負担・上映会の実施などの確約されていた約束の一切が反故にされてしまいました。2024年の3月のことです。
そこからしばらく、経済的にも精神的にも、かなり厳しい時間が続きました。拠点だった神山町の事務所も手放しました。
制作の足場も、生活の足場も、いったんほとんど失ったような感覚がありました。正直に言えば、作品を完成させる以前に、自分自身の生活と制作環境を立て直すだけで精一杯の時期がありました。
幾人ものプロデューサーやアシスタントが、このプロジェクトに関わり、そして去っていきました。
そして今、僕一人が、この作品と向き合っています。
もともとこの企画は、「岡本さんの本を作りたい」と願っていた神山の知人が、突然亡くなったことから始まりました。
彼の思いを、微力ながら受け継げないか。そう思って始めたのが、この作品でした。
けれど、その後の数年間で、世の中の流れも、撮るべきものも、大きく変わっていきました。皆様に何も報告できず、ずっとどこか嘘をついているような感覚のまま、時間だけが過ぎていきました。
昨年末、谷崎テトラさんから東京に呼ばれました。そこで彼から、自分の人生が「アディショナルタイム」に入った、という話を聞きました。癌が全身に転移しているのだと。GW中に、テトラさんの徳島での活動を追加撮影する予定です。また、岡本さんの新しい活動の試みも追おうと思っています。なんとか今年必要な制作費をかき集め、完成まで漕ぎ着けようと思っています。
編集はすでに始まっています。ただ、まだ膨大なデータを整理し、細部を文字起こししながら、作品の骨格を探っている段階です。この映画が最終的にどのような姿になるのか、作家である自分自身にも、現時点ではまだはっきりとはわかりません。
当初、皆様にご期待いただいた内容とは、ずいぶん違うものになるかもしれません。けれど、それは、この数年間の幾多の出来事、出会った人々、変わってしまった世界を、できるかぎり正直に引き受けた結果としての変化だと思っています。
(去年作りました、予告編をここに貼らせていただきます。)
かえすがえすも、長い時間をいただいてしまい、本当に申し訳ありません。
そして、これまで十分なご報告ができなかったことを、改めてお詫び申し上げます。
長岡 参
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