祭ばやしが聞こえる vol.7
vol. 54 2022-05-12 0
"今日もいろんな人を見ました。"
東京暮らしも一ヶ月を超えました。
今日もいろんな人を見ました。
新宿駅で泣きながら歩いているコート姿の若い女性。
目黒の客もまばらなカフェでおっとり働いているふくよかな女性。
スターバックスで脇目もふらずアイパッドを使い勉強している男の子。
その店の誠実そうな店員の女性。
山手線の車内で、渋谷から乗ってきてずっと「ブスって言いやがった!」「ヘタしたら殺人事件だぞ!」「馬鹿野郎って言ってやった!」と原宿で降りていくまで大声で叫び続けた、リュックにヘルプマークをつけた中年の女性。
それを冷めた目で見ているパーマのお兄さん。
隣席の人を気にし、マスク越しに鼻と口をおさえながら、パソコンで何やら細かい資料をひたすら作成しているおじ様。
路上生活者の人たち。
テレビでは、数日前に亡くなった、僕も大好きだったお笑い芸人さんのニュースがやっている。
誰が正しくて、誰が間違っているのか。
何が正常で、何が異常なのか。
この時代、この世の中で、映画を作って、世に出す意味は何か。
僕が仲間たちと東京に滞在してやっていることは、何のためなのか。
虚しい努力なのだろうか。
いや、そんなこと誰に分かるだろうか。
たとえ
「お前のやっていることなんて、1ミリも価値などないから、すぐにやめなさい」
と言われても、やり続けたいと思えるもの。
そういうものだけが、何でもありのこの世の中で、貫く何かになりうるのではないだろうか。
やってやろうじゃありませんか。
東京都中央区日本橋室町の三重テラスで、5/9〜5/15まで多度祭の古い写真展が開催中です。
13日はエレベーター前(下写真)のみの縮小展示となります。ご注意くださいね。
下がメインの展示会場です。
5/11は二回目の試写でした。
映画について話すのはいつも難しいです。どれだけでも話せるようで、何も話せないような。話しすぎたようで、言い忘れているような。
終了後、取材も入りました。掲載されたらまた書きますね。
大学時代、同級生にもらった置物(下写真)をお守りのように持ってきています。笹嶋くんだったかな?谷口くんだったかな?くれたのは。この日も見守ってくれていました。
帰り道、曽我部恵一さんがやっている下北沢の「八月」というカレー屋で夕食をすませ、ぷらぷら歩いていたらヴィム・ヴェンダースらしき人を見かけました。パートナーに「あれヴェンダースじゃないか?」と言っても、映画に詳しくない彼女には「ヴェン…ヴェン…何?」と、会話が通じません。あとでネットニュースに出ていましたね。やっぱり本人だったんだ。
伊藤有紀