寄付額のご報告【表記修正版】
vol. 21 2022-12-26 0
皆様にご協力頂きましたウクライナ映画人支援特別上映へのクラウドファンディングにつきまして、大変遅くなりましたが、寄付の手続きが完了いたしましたので、収支のご報告をさせて頂きます。
下記の通り、クラウドファンディング手数料、上映にかかる費用を除いた金額を、作品プロデューサー・監督、及び、危機下にある映画人に対して支援活動を行う国際連帯組織「International Coalition For Filmmakers at Risk(ICFR)」に送金いたました。
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◆クラウドファンディング寄付総額:
5,994,500円
◆経費
・クラウドファンディングシステム利用料(寄付額の10%+消費税+振込手数料):
659,935円
・上映実施費用(会場費、上映素材製作費、宣伝費):
515,435円
◆差し引き金額:
4,819,130円
◆送金額
・プロデューサー&監督への寄付:
817,500円
・ICFR寄付:
4,001,630円
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あらためまして、皆様のご支援に感謝申し上げます。
下記に、ウクライナ映画人支援上映 有志の会代表の矢田部吉彦からのメッセージを添えさせて頂きます。
「ウクライナ映画人支援特別上映の報告に寄せて」
2022年の2月24日にロシアがウクライナに本格侵攻を開始し、身近な場所で戦争が起きたことに我々は体験したことのないような衝撃を受けました。ウクライナの映画人に直ちに思いを馳せ、無事でいてほしいとの願いのもと、急きょ3月末に実施したのが「ウクライナ映画人支援特別上映会」でした。クラウドファンディングには多額の募金が寄せられ、何かをしないではいられない焦燥感を多くの人々と共有した結果となりましたが、上映会に足を運んで下さった皆様と、募金をして下さった皆様への感謝の念を、今年は片時も忘れたことがありません。
ヴァレンティン・ヴァシャノヴィチ監督作『アトランティス』と『リフレクション』の特別上映時、会場が特殊な熱気を帯びたことがことさら印象的です。優れた映画に接した興奮が、ウクライナへの支援の想いを後押ししている気がしました。多くの方にとって、映画の持つ力を再認識する経験となったはずです。
その後、両作品は劇場公開を果たし、より多くの観客の目に触れることが可能となり、ソフト化も実現しています。ヴァシャノヴィチ監督の仕事が広く知られていくことに興奮を覚えるとともに、キーウに留まって街と人々を撮影しているという監督の次回作が無事に完成することを心から願うばかりです。
クラウドファンディングで寄せられた募金は、危機下にある映画人に対して支援活動を行う国際連帯組織「International Coalition For Filmmakers at Risk(ICFR)」に送りました。2020年に設立されたこの組織は、アフガニスタンの映画人を始め、各地で弾圧されている映画人を支援してきており、現在はウクライナ支援が大きな使命となっています。ICFRの創設メンバーのひとり、オルワ・ニラビア氏はシリア出身の映画プロデューサーであり、自身もシリアで拘束され死が目前に迫る経験をしています。映画業界の支援のおかげで難を逃れたニラビア氏は、誰よりも連帯の重要性を知る映画人です。映画業界の「同僚たち」を支援するICFRほど、寄付先にふさわしい組織は無かったと断言できます。
ニラビア氏はアムステルダムのドキュメンタリー映画祭のディレクターも務めており、11月に開催された同映画祭中のシンポジウム(*1)において、日本からの支援に対して感謝の念を述べてくれました。
(追記: ニラビア氏によると、3月の渋谷での上映会への皆さんからのご支援は、ICFRによるウクライナへの基金に集まった総額の約10%にものぼったとのことでした。同シンポジウムの詳細は矢田部吉彦のブログ「アムステルダムDoc映画祭2022日記Day7」で紹介しています。)
また、ロッテルダム映画祭のディレクターであるヴァーニャ・カルジェルチッチ氏もICFRの中核メンバーです。リベラルなオランダという地を舞台に、映画人支援団体が有力映画祭と有機的な連携を果たしています。日本からその連携に参加でき、精神的に、そして金銭的に貢献できたことを誇りに思います。
とはいえ、戦争は終わっていません。3月の上映会以降、多くのウクライナ映画が紹介されるようになりましたが、世間で戦争を憂慮する雰囲気が後退していることが気がかりです。窮地にあるウクライナ映画人が映画製作に復帰できる日が一刻でも早く訪れるように、祈る気持ちを決して忘れないで過ごしたいと思います。そして、できることがないかどうか、常に考え続けていきたいと思っています。
改めまして、3月にご協力下さった皆様に、心よりの御礼を申し上げます。
ウクライナの人々が早くクリスマスを祝えるようになりますように。
2022年12月24日
ウクライナ映画人支援上映 有志の会
矢田部吉彦
*1: アムステルダムのドキュメンタリー映画祭のシンポジウムの記事(英語)はこちら