応援メッセージ④
vol. 13 2020-03-10 0
応援メッセージ、第4弾!
今回は『Songs For My Son』本作に出演する俳優、10代の和田少年を知る先輩作家、さらに和田を展覧会に招聘したことのあるキュレーターの方々から、応援メッセージをいただきました!
三宅里沙(俳優)
国立奥多摩美術館での公開オーディションや撮影で、ああここはとても豊かな現場だ、と感じたことを覚えています。
関わっている方々の人柄が滲み出ている作品だとおもいます。
すてきな作品の一部となり、がんばりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
小金沢健人(美術家)
僕は20数年前に東京の美術予備校で講師をしていたときに、当時高校生だった和田昌宏と会っている。
彼は手先が器用だったり口がうまかったりするタイプではなく、描く絵はコントラストがはっきりした筆圧の強いものだったような気がする。
6Bの鉛筆一本で描いたかのような荒々しさと勢いは本人の印象とそれほど遠くなかった。
その予備校の授業は通常のデッサンよりも、大喜利のような課題に取り組む毎日だったので、絵の巧拙よりもぶっ飛んだアイデアが評価されるのだが、彼は時々とんでもない発想の作品を提出していたように記憶している。
額の汗のむず痒さがそのまま宇宙開発につながるというような(これは僕のでっちあげた例ですが)、身体感覚が巨大なスケールのものと強引に接続されてしまうような不思議な感触があった。
実は「アーティスト和田昌宏」の作品はまだ1作しか見ていない(『黒い廊下、もしくは21人のネルシャツ』)。
面白いので2回見たがさっぱりわからない。
わからないけど面白いので続きが見たいと思っていた。
楽しみに待ってます。
遠藤水城(Artistic Director of Vincom Center for Contemporary Art (VCCA), Hanoi / Executive Director of Higashiyama Artists Placement Service (HAPS), Kyoto)
和田昌宏は、現代美術業界では「知る人ぞ知る鬼才」という枠の作家である。逆に言えば、すごく有名なわけではない。
でも、考え方を変えてみたらどうだろう。
現代美術の閉鎖性がそもそも高いのであって、和田の才能はそこに収まるものではない、という可能性はないだろうか。
最近は、アピチャッポン・ウィラーセタクンのように美術と映画を同時にこなす作家も自然に登場してきている(ついでに言うと和田の作風はタイの新鋭アーティスト、コラクリット・アルナーノンチャイに通ずるものがある)。
さらに言えば、和田のような「穏やかな狂気」を孕んだ作家がその資質を活かすには「展覧会」という装置だけでは足りないだろうとも思う。「映画」とはまさに、そんな彼にうってつけのメディアなのかもしれない(ついでに言うと和田の資質は、スタンレー・キューブリックに近いものがある)。
さらに言えば、不謹慎かもしれないけれど、いまクラウドファンディングで苦境に陥っているというのも最高だと思う。つまり、そもそも、いまの世の中が和田昌宏には狭すぎる、ということなんじゃないだろうか。
だからこそ支援して欲しい。
ほとんどなんの役にもたたず、新鮮な居心地の悪さのみが得られるであろう「映画」をサポートする、という一見不毛な営為こそが、世界をちょっとづつ広くしていくんじゃないだろうか?そういうクラウド・ファンディングがあっても良くないですか?