【サッチャル日本滞在レポート】 No.2
vol. 14 2016-09-13 0
9月3日(土)日本滞在2日目にして、夜には今回の来日のメインイベント、東京JAZZでの演奏が控えています。サッチャル・サウンドのひとつの要であるバーンスリ―のバーキル・アッバースが急遽来日中止となったため、プロデューサー陣の希望により、予定していた浅草観光の代わりにホテル近くのスタジオでリハーサルを行うことになりました。
20代~60代と幅広い年代のメンバー構成のなか、若手メンバーは必ず率先して先輩たちの楽器を運びます。ピアノのダニッシュ・アリーは「ナフィースは偉大なミュージシャンで、僕はとても尊敬しているから、彼の楽器は僕らが運ぶんだ」と言いながらシタールを運んでいました。メンバーみんなが仲良くしながらも、先輩には最大限の敬意をはらう、風通しのよく明るいグループの雰囲気が感じられます。
スタジオに入りリハーサルがスタート。初めて生で聴くサッチャルの音に、私たちも胸が高まります。東京JAZZでの演奏曲を一通りあわせて、休憩(タバコ)タイムに。お手伝いに来てくれた村山先生と上原美奈子さんが、みんなの大好きなチャイを淹れてくれました。メンバーがリラックスして「これで大丈夫だから終わりにしよう…」などと言い出しスタッフが慌てた時、プロデューサーのイッザト・マジードさん、ヌール・ファティマさんご夫妻が登場。すると今までの和やかさが嘘のように、メンバーの背筋がピンと伸びました。「今日のコンサートにかかっているんだ!」と喝を入れながら、彼らに細かい指示を出していくマジードさん。すると音に緊張感が増し、ヌールさんも思わず「すばらしい!」ともらす演奏を披露します。これは今晩の東京JAZZも期待できそうです。
プロデューサーが来る前はリラックスムード
プロデューサーの登場で真剣な表情に
リハーサル後は、昨晩につづきポンディシェリでランチ。ヌールさんは美味しい!と絶賛でした。
午後はプロデューサーのマジードさん、指揮のニジャート・アリー、ベースのアサド・アリーがTVや新聞の取材を受けます。日本のメディアもパキスタンからやってきたジャズ・グループに興味津々です。彼らの音楽や現地の様子など、色々な質問がとびだします。
残りのメンバーは夕方の角川シネマ有楽町での『ソング・オブ・ラホール』舞台挨拶まで束の間のフリータイム。近所をお散歩したり、部屋で休んだり、思い思いに時間をすごします。
日も暮れて、いざ有楽町へ。しかし約束の18時を過ぎても、集合場所に誰も来ない!! 慌てて呼びに行くと「30分勘違いしていた」、「これから着替える」と、そろいもそろって誰も支度がすんでいません。スタッフ総出でメンバーを急かし、準備ができた人からタクシーに乗せ、大慌てで角川シネマ有楽町へ。なんと映画館にすべりこんだのが上映終了5分前。角川シネマ有楽町の皆さん、ご心配をおかけして本当に申し訳ありませんでした。
そのまま打ち合わせもできないままに、ぶっつけ本番で『ソング・オブ・ラホール』の舞台挨拶へ。メンバーが場内に入ると、そこには大きな映画館を埋めつくすお客様が!
まずはイザットさんがサッチャルを紹介。その後、お客様とのQ&Aとなりましたが、とぎれることなく質問の手があがり、あっという間に30分の舞台挨拶は終了しました。メンバーたちが劇場を出ると、映画を観終えた方たちに囲まれサイン攻めに。
そしていよいよ、次は東京JAZZの本番です! イッザトさんご夫妻は先に会場へ。メンバーたちは控室でスタンバイです。天気予報ではサッチャルの登場する9時過ぎから雨がふる模様。何とか持ちこたえてくれるといいのですが。
前の演奏が終わり、東京JAZZの舞台である東京国際フォーラム地上広場の特設ステージにサッチャルが乗り込みます。サウンドチェックの時間はわずか15分。東京JAZZのスタッフが手際良く機材をセッティングしていきます。チェックのためにサッチャルが舞台にあがると、彼らの演奏を待ち構える観客から早くもかけ声がかかります。ほどなくセッティングを終え、イザットさんがご挨拶。そしてサッチャルの演奏が始まると、いつの間にか広場を埋めつくすほどに膨れ上がった観客から大歓声が上がります。
その声に応えるようにサッチャルは素晴らしい演奏を披露してくれました!!
映像提供:サンリス
リハーサルをはるかに凌ぐ演奏に私たちも震えがとまりません。指揮のニジャートが全体をコントロールしつつ、メンバー間でもアイコンタクトをとりながら、シタール、タブラ、シェーナイとそれぞれの楽器で見せ場をつくり、会場を沸かせます。誰かが良い演奏をしたら、他のメンバーは笑顔で合図を送ります。
1曲ごとに会場そしてサッチャル自身も盛り上がり、あっという間に予定していた5曲を終了。おのずと沸き起こった大きな拍手と歓声に、なんと予定外のアンコールが!その日2曲目に披露した「Sharamar」を、1回目とは違うアレンジで聴かせてくれました。
最後はメンバー、そしてイッザトさん、ヌールさんも並んでご挨拶。会心の演奏に、舞台裏にさがってもメンバーの興奮はおさまりません。後で聞いたところによると、東京JAZZ「The PLAZA」公演の中で一番の人の出だったそうです。
途中で雨がふりだしたあいにくの天候の中、最後までご覧いただいたみなさま、本当にどうもありがとうございました!! 大成功のサッチャル・ジャズ・アンサンブル日本初公演でした!
サッチャル・ジャズ・アンサンブル 9月3日東京JAZZ セットリスト
- Ditched Me
- Sharamar
- Rhythmesque
- イパネマの娘
- テイク・ファイブ
- アンコール: Shalamar
写真は全て©アライヨシヒロ
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