【草原ラジオ】「同じ感覚に震えた」“芋生・吉田”で映画に閉じ込めたもの|前半
vol. 8 2023-06-02 0
草原ラジオとは…… ただいま制作準備中!映画『何をそんなに慎ましく』監督の吉田奈津美が「まだ言葉になっていない感情」など作品テーマを中心に、ゲストを交えて様々な側面から深めていく“語り場”的ポッドキャスト! |
こんにちは!映画『何をそんなに慎ましく』制作スタッフです。
草原ラジオ第2回目は、俳優・芋生悠さん(出演作に『37セカンズ』『ソワレ』など)をゲストにお迎えしました!芋生さんは吉田監督作『ひとひら』出演以降、吉田監督と公私ともに深い関わりが続いているということで、期待通りの、いや、期待以上の熱いトークを交わしていただきました……!本稿では、ポッドキャストの配信に先駆けて、監督と俳優、肩書きの異なる2人がタッグを組み続けるワケを探りながら、映画に込める思いを深掘りしていきます。
右:芋生悠(いもう・はるか)◆1997年生まれ、熊本県出身。主な映画出演作に『ソワレ』(2020年、外山文治監督)『37セカンズ』(2020年、HIKARI監督)『ひらいて』(2021、首藤凛監督)など。吉田監督作では『ひとひら』(2017)『浮かぶ』(2021)に出演。
ーーお2人はいつからのお付き合いですか?
吉田 2017年の短編作品『ひとひら』にご出演いただいて、主人公・いずみ役を演じていただきました。
芋生 『ひとひら』は私が19歳とかで、あの時にしかできない役だったから、企画書をもらった時に「絶対私がやる!」って。
吉田 出演いただいた経緯としては、私が芋生さんを好きで、企画書とプロットを送ってオファーして……。
芋生 マネージャーから企画書をもらって。で、めっちゃ震えた。同じ感覚がある人がいるんだと思ってびっくりした。初めて会う時にすごい熱意を持って行ったの。そしたら、吉田監督が本当にド緊張で、何もしゃべらなくて(笑)。
吉田 すごい緊張して、モゴモゴして……。
芋生 今はもう呼び捨てだけどね(笑)。
吉田 「吉田」「芋生」ってね。
ーーお2人が出会った『ひとひら』はどういう作品ですか?
吉田 『ひとひら』は、私が大学3年生の時に、早稲田大学の映像制作実習という授業で、監督した30分の短編作品です。芋生さん演じる、中学2年生の女の子・いずみが、幼なじみで同級生の男の子・陽一と、おそろいのセーラー服を着て出かけたり、2人で時間を過ごしたり、秘密の遊びを続ける中で、身体的な成長とともに2人の関係を永遠に続けることが難しいよねと悩むっていう話でした。
芋生 その時、私もちょうどハタチ前、19ぐらいで、大人でも子供でも、男でも女でもないみたいな。自分を女って言い切れないというか、どこにも属してないみたいな感覚があって。でも同級生とか周りを見ると、みんな女の子っぽかったり、ちゃんと大人っぽかったり、なんかいいなあと思って。「あれ自分だけちょっと違うのかも」っていうのを感じてたから、『ひとひら』をやるって聞いた時に絶対やりたいと思った……ていうのを思い出した。
吉田 私も、その頃のどこにも所属していないような芋生さんに魅力を感じて。主人公のいずみもどこにも所属をしていないところから、どこかに所属し始めるっていうその絶妙なラインを描きたいなと。
芋生 何かに属してしまうと、大事にしていたものが消えちゃうんじゃないかとか、捨てなきゃいけないんじゃないかとか思ってたかもしれない。透明だったものに、色がついちゃうっていうのが悲しかったかな。
吉田 『ひとひら』を作る過程で、芋生さんと話せば話すほど、お互いが作品のテーマに対して、かなり近い考え方を持っているなと。芋生さんが19歳で私がハタチで、大人になるということをすごく意識していたし、自分達がこれから失っていってしまうかもしれない何かを、映画の中に閉じ込めたくて。閉じ込めたというか、残した感がすごくあったよね。
芋生 今でも大事な映画だよね。
ーーお2人はその後、『浮かぶ』という作品も作られていますね。
吉田 『浮かぶ』は姉妹の話で、芋生さんには、田中なつさん演じる主人公・高校3年生の結衣と年子の妹、佳世役を演じていただいています。妹の佳世は幼い時に、お祭りで神隠しに遭って、ある期間姿をくらましていて、そのことを忘れていた姉の結衣は、町に残る林がなくなることにをきっかけに思い出していく。「見る・見られる」ことへの意識から、戸惑いを感じていく中で、林にどんどん入っていくように結衣が迷い込むという物語になってます。
芋生さんとは『ひとひら』で関係が構築されていたので、大学卒業前に『浮かぶ』を撮りたいという相談をしました。
芋生 公園とかで話したっけ(笑)。『浮かぶ』は主人公と私の役が姉妹で、吉田監督は姉妹がいなくて、私はお姉ちゃんがいるから「どうなの?」みたいな話になって。
吉田 前々から、お互いに家族の話をすることは多かったので、『浮かぶ』では姉妹を描くにあたって、芋生さんのお姉ちゃんとか、田中さんのお姉ちゃんの話を、それぞれ聞いて作った感覚があるかな。
芋生 日常だと、お互い外で嫌なことがあったり、お姉ちゃんに言えないことがあっても、日常は日常として、変わらずに過ごすみたいな。なつさんもお姉ちゃんいて家族構成が一緒だったから、お互いそういうところをわかってて。だから日常シーンがすごい自然な感じだよね。姉妹でおのおの抱えていたり、思っていることは違うけど、姉妹としてそこにいる時は、普通に姉妹っていうのが発見だったというか。重くなりすぎないことが作品にとっても良かったのかな。
吉田 『浮かぶ』は一緒に作った感じがあると思います。
==================
その後、トークは『何をそんなに慎ましく』誕生の舞台裏へ。そこにも芋生さんの大きな存在がありました。詳しくは、「草原ラジオEP.2」(6月3日 18時〜配信開始予定)でお楽しみください!
(皆さま大雨にはくれぐれもお気をつけて……!)
最新の情報を発信中!
https://twitter.com/sogen_project