【草原ラジオ】「ハッピーエンドを諦めない」ゲスト:芋生悠さん|後半
vol. 9 2023-06-09 0
草原ラジオとは…… ただいま制作準備中!映画『何をそんなに慎ましく』監督の吉田奈津美が「まだ言葉になっていない感情」など作品テーマを中心に、ゲストを交えて様々な側面から深めていく“語り場”的ポッドキャスト! |
こんにちは!映画『何をそんなに慎ましく』制作スタッフです。
草原ラジオ第3回は前回に引き続き、俳優・芋生悠さん(出演作に『37セカンズ』『ソワレ』など)とのアツいトークをお届けします。
話題は新作『何をそんなに慎ましく』へ。「それぞれの役に見たい場面がある」と語る吉田監督。芋生さんとのお話が進むにつれて、『ひとひら』から、さらに掘り下げていきたいテーマや、特報撮影を経験して、改めて気がついたというキャストの魅力など、新作で描きたいものへの思いが次々に浮き立っていきます。では、後半もお楽しみください!
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映画『ひとひら』場面写真
ーー吉田監督、質問です。『ひとひら』と『何をそんなに慎ましく』で変わらずに描きたいことなどありますか?
吉田 あえて言語化するなら、世の中で既に言葉として表現されている感情とはまた違う、登場人物のある個人の固有の感情を描きたいっていうのは変わらないかなと思いますね。
芋生 映画って問題は提議しても、その映画の中で完結してることがあるというか。「ところで現実で生きてくにはどうしたらいいの?」って教えてくれなかったりするじゃん。希望を与えてくれるかもしれないけど、(現実では)そうはいかないしなとか。
吉田 芋生さんと、「これまで世の中にはなかった一つの幸せの可能性みたいなものを、世の中に伝えるために作るんだ」っていうのはずっと言ってて。一つのハッピーエンドを作るんだぞっていう、まずはそれを何か叶えるんだぞっていうことはずっと考えてきたかなって思います。
芋生 『何をそんなに慎ましく』の3人は、傷つかないように生きようと思ったら、関わり合わないように生きていけばいいって思うじゃん。でもさ、本当に一人ぼっちになるのって無理で、結局寂しいし、それってやっぱり無理なんだなってすごい思うの。傷つかないでいれるかもしれないけど、どんどん寂しくなってくんだよね。
吉田 一緒にいなければ傷つかないで済むこともいっぱいあるのに、傷ついてもなお一緒にいようとする強さは、これまでの作品に出てきた『ひとひら』のいずみとか『浮かぶ』の結衣とか、その系譜というか継いでいるものがあるなと思うし、脚本書いてても、なんでこの人達って一緒にいるんだろうってことを今、見つめ直してて。枠の中にはまるんじゃなくて、苦しくても傷ついても、自分達の思う “本当” だけを追うっていう。
芋生 自分だけの世界じゃなくて、どんどん交わってく感じがするよね。
吉田 『ひとひら』と同じ部分もあるけど、違う部分があるとしたら、もしかしたら「最後の選択」というか、私たちは『ひとひら』で失われていくものを一生懸命描いて、確かに失われるものもある…けど、それでも失わないっていう貪欲さは、タイトルにもなってるけど、『何をそんなに慎ましく』では傷ついてボロボロになりながらも、やりたい。
芋生 うんうん。それでも手に入れたいもの、みたいな。だからこそ人に優しくなったりもするし、もっと人のことを理解しようとしたりするし、自分がもっと変わらなきゃって思ったりもするし。
吉田 そうだね…。今、脚本を絶賛良くなるように書き直してる最中なので頑張りたいですね。
芋生 頑張れー。脚本よくなれー(笑)。
吉田 芋生さんから見て『何をそんなに慎ましく』の役者さん3人、野内まるさんと山本奈衣瑠さんと須藤蓮さんはどういう風に見えてる?
芋生 特報を見て「野内まるさんかわいい」って(笑)。ぶすくれてる感じとか、すごいかわいいなって思う。
吉田 でも『ひとひら』の時の芋生さんに近いものをすごく感じるんだよね。もちろん彼女は唯一無二で、オリジナルなんだけど、今言ってた魅力は私は芋生さんにも感じてたかもしれない。
芋生 自分の中で、本当に譲れないものがあるって顔をしてるよね。それがある種、面倒くさい人だなって見られるかもしれないけど、それがいい。そうあって欲しいって思うし、草ちゃんには特にどんどん迷ってほしいし。
吉田 野内さんと私は初めてご一緒するんだけど、特報ってライトな場面だけやってるから、何かふんわりした魅力が出てると思うんだけど、でも草ちゃんを演じてもらうにあたって、どんどん見たことない表情が…。
芋生 出そうだね〜。草ちゃんは人間味がすごいあって、ただ明るいみたいな子じゃなくて、友達と話している時は明るかったりするんだけど、時折見せる怒ってる顔とか、なんか想像できる。
吉田 私もそうだった!大切な人と過ごしている中で、ふとした瞬間に生まれる怒りとか、葛藤みたいな強い感情みたいなのが。そういう風になってる野内さんを見たことがある訳ではないけど、そこを信じられる人だなって思ってて。
芋生 怒りの感情ってなかなかエネルギーがいるしなかなか日常で湧いてこないじゃん。でもそれが見れる気がして、めっちゃ楽しみ。
吉田 愛のある怒りというか、許せなかったりとかっていう感情を、この作品で描きたいなって思ってるから、それを野内さんと一緒に今回作っていけたらいいなって思ってる。山本さんも須藤さんも、キャラクター性というか、瞬間の強さとか突出してる。日常の中にあるピークの部分みたいなのがやっぱすごく想像ができる。元々の3人もすごく魅力的だし。
芋生 まんまだよね、役が(笑)。最初、この3人を全然想像してなかったけど、こうやって写真になったり、特報になったりしてるの見たら「そのまんまだな」って。奈衣瑠さんの淡々とした感じとか、ひょうひょうとしてる感じがすっごいハマってるし。最初はそういう風に想像してなかったじゃん?もっとお姉さんで、おしとやかなイメージだったの。でも「このさおりかも!」みたいな新しい発見だった。
吉田 この話の中ではさおりちゃんの強い感情もあるじゃん。それもすごい見えるというか。
芋生 透明感があって柔らかい感じもありつつ、強い感じがあってっていう。
吉田 さおりちゃんは、柔らかさと強さのコントラストが楽しみだなって思う。蓮くんは、芋生さんが元々「須藤さんお芝居いいよ」って言ってくれていて、私が『ワンダーウォール』を見て、冒頭にバスで蓮くんが寮に帰るシーンがあって、セリフが無いシーンでずっと黙ってるんだけど、この人はずっと何かを考えてる人なんだっていうのを感じて。一樹はその通りの人だって思うから。蓮くんはずっと当て書きで考えてて。でも私の頭の中の蓮くんって、ワンダーウォールの蓮くんなの。だから実際にお会いした時とかのエネルギーがやっぱりすごいから…。
芋生 (笑)。
吉田 最初はちょっと圧倒されたりとかしたんだけど。現場も入ってないから、いっぱい話せている訳じゃないけど、すごい繊細…。そこをうまくお芝居で、カメラの前でその状態でいてもらえるかどうかっていうところだなと。
芋生 一樹って主人公にもなれるじゃん?
吉田 あっそうなんだよね!
芋生 それ、だと思う。吉田監督が一樹を主人公ぐらいに思って、一緒に向き合ってやったら楽しみ。
吉田 楽しみ。それぞれの役にやっぱり見たい場面があるっていうか。……そろそろ時間ですかね?
ーーはい(笑)。最後にそれぞれ一言ずついただいていいですか?
芋生 お呼びいただいてありがとうございます。楽しかったね。でも話しすぎたねちょっと(笑)。
この『何をそんなに慎ましく』は結構長いこと温めたし、自分の作品っていうぐらい大事だし、メインの3人がどうなってくのかが楽しみ過ぎて普通に現場に行きたいし、見たら泣いちゃいそう。「あっ動いてる…」って泣いちゃいそうなくらい。それぐらい楽しみ。見てくれた人達がどういう風な反応するかも楽しみだし。
『ひとひら』とか『浮かぶ』とか上映した時、本当に感動してくれて感想をくれたりとか、ちゃんと届いてるんだなっていうのが分かるじゃん。たくさんの人じゃないけど、ちゃんと一人一人に届いてるのがうれしくて。だから『何をそんなに慎ましく』も、最後まで丁寧に、妥協せずにやって、一人でも届いたらいいなって。不安いっぱいあるだろうけど、頑張ろう(笑)。
吉田 頑張りましょう(笑)。お聞きいただいたみなさん、最後までお付き合いくださりありがとうございました。映画『何をそんなに慎ましく』は6月30日まで、クラウドファンディングを行っています。自主制作で作っていて、それはここまでお話ししたように、繊細な、なかなか伝えづらいテーマをしっかり描くっていうことを目指して、その選択をとっているという側面もあるので、もしこのラジオを聴いて、この映画が世に出る手助けをしたいと思ってくださる方がいたら、クラウドファンディングにご協力いただけたら嬉しいです。クラウドファンディングのプロジェクトページに、作品のテーマだったりとか、あらすじだったりが細かく書いてあるので、是非読んでいただけたらと思います。
一同 ありがとうございました〜〜〜。
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最後までお読みくださりありがとうございます。収録現場、かなり白熱しておりました(笑)。ぜひその空気感は、「草原ラジオEP.3」(6月10日 18時〜配信開始予定)でお楽しみください!
そして次回のゲストは……!『何をそんなに慎ましく』さおり役の山本奈衣瑠さん!!(奈衣瑠さんのお話、とても面白いんです。。)お楽しみに〜〜〜!
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