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映画『脂肪の塊』劇場公開をクラウドファンディングで実現!

映画『脂肪の塊』の劇場公開に向けたプロジェクト

『自由を手にするその日まで』の天野友二朗監督の新作『脂肪の塊』の劇場公開に向けたプロジェクトを始動!

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このプロジェクトは、2018年7月23日23:59に終了しました。

コレクター
62
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残り日数
0

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このプロジェクトは、2018年7月23日23:59に終了しました。

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T&Y FILMS

●商業デビュー作『幸福な囚人』撮影中 ●二作目『脂肪の塊』(2017年製作) 2019年劇場公開予定 ●一作目『自由を手にするその日まで』(2016年製作) 全国TSUTAYA・GEO他DVDレンタル中

TV出演多数!精神科医 名越康文氏と天野友二朗監督による対談!(前編)

vol. 6 2018-07-07 0

映画『脂肪の塊』徹底分析対談 (前編)

精神科医・コメンテータ 名越康文先生(右)(「シューイチ」他TV多数出演)と本作監督 天野友二朗(中央)・宣伝配給プロデューサー 小林和仁(左)による対談!

トラウマや記憶喪失、強迫性障害など、精神医学的要素を映像化した本作『脂肪の塊』について、精神科医 名越康文氏を迎えて分析トークが先月行われた。

◆映画『脂肪の塊』予告編はこちら↓

※映画『脂肪の塊』カナザワ映画祭上映用チラシ
※7月15日 16:50~ 金沢21世紀美術館 シアター21にて上映

①映画を観た感想

名越先生:
「医学部出身らしいですが、どこの医学部だったんですか?」

天野監督:
「鳥取大学ですね。でも、医学科ではなく、研究系の学科出身なので、医師ではないです。」

名越先生:
「映画、めっちゃ怖かったわ~。『SAW』シリーズの二倍怖かった。歴代観た中で一番怖かった。カニバリズム(人肉を食べるシーン)が、強烈に怖かったです。」


名越先生:
「(天野監督みたいに)医学系出身で、普通にやっていたら食べていける。でも、例えば、心理学部出身の人間は、8~9割、心理学では食っていけない。結局、心理学と関係ない普通の商社に勤めるようになったりする。医学系という専門職を持っているのに、映画監督という修羅の道を選ぶとは。前作(『自由を手にするその日まで』)の予告編も観たんだけど、これを撮る人は、本気やなって思った。

僕は素人ですが、もし僕がこれを撮るとしたら、どれだけノイローゼになるだろうと思いましたね。予告編を観て、マネージャーにすぐ電話して、『絶対対談するから!』って、言ったのね。
それから、本作(『脂肪の塊』)を観たんですけど、あんまり怖いから、途中から後悔しましたよ(笑)」

◆前作(初監督作)『自由を手にするその日まで』予告編↓
※アルバトロスより、2018年5月2日~全国TSUTAYA・GEO他レンタル店にて取扱中
※Amazon、楽天市場他でセル展開中

天野監督:
「きつかったですね(笑)」

名越先生:
「きついやろ、あれ(笑)
僕、『羊たちの沈黙』が世界一好きな映画なんです。血が出る作品には、けっこう慣れてるつもりやったけど、この映画が、今まで観てきた中で一番怖かった。」

天野監督:
「嬉しいですね、それは!印象に残ったシーンはありますか?」

名越先生:
「いっぱいありすぎるなぁ。人肉を食べるシーンもすごかったし。
あと、頭を殴るシーンね。頭って、大事な箇所でしょ?
普通、人間を害するシーンって、胸を刺したり、首を刺したりなんだけど脳天を、複数回殴るというね。
写し方が、まるで自分が殴られているように思えるんですよね。それに比べて、レズシーンの耽美な形式美。

俳優たちをよくあそこまで、本気にさせているよね。
あそこまでハードでディープな役柄を、やりたくても入り込めない人もいると思うんですよね。役者さんのコンダクトの仕方にも、脱帽しました。」

天野監督:
「特にヒロイン花子役・サブヒロイン ユキ役の二人とは、何度も脚本のやりとりをしました。
『ここをこう変えた方が言いやすいです』と言われたら、
『その理由は?』と、一行一行に関して、こと細かくやり取りしたり。
『本当はこういう動機で言っているかも』と別の可能性を伝えたり。
僕は論理的に説明しますが、そういう監督の理論と、出演者の俳優としての感情の落とし込みはまた別なので、落とし込めないという不整合があったら、またディスカッションしたりと。」

名越先生:
「そこまで詰めないと、あんなセリフ言えないと思っていたし。
一行、一行、全部毛細血管が通っているようなセリフでしたね。」

②本作の本当に怖かった部分

名越先生:
「精神科医として本当に怖かったのは、花子が目に見えないカプセルの中に閉じ込められているような感覚。

普段OLとして働く彼女が、会社の中で周囲と普通の会話をしているシーン。
そこでは、自分がこんな凄まじい苦しみの中にいるということを、誰にも絶対に言えない。
だから、実は、一番怖いシーンはそこでしたね。
普通の社会生活の中に所属しているのに、個人生活の中の恐怖・罪・償い・孤独を、一切社会の枠組みの中でまったく打ち明けることができない。
冷めた涙しか出てこない寂しさとでもいうか。」

天野監督:
「実は本作は、一作目(『自由を手にするその日まで』)と同じ主演女優です。
違う作品ですが、二作とも、同じような事務職という設定にしています。

一作目は病院事務職でのハラスメント・いじめを題材にした復讐劇です。
事務職という設定の中で、主人公のヒロインがいじめられて、精神的に病んでいく。
前半では、とにかくひたすらいじめられ、後半で報復するOLの話です。

一方、本作では、一見温和な職場の中に潜む『見えない孤独』を描きたかった。
どちらが残酷かと言ったら、本作の方が、実は残酷なアプローチです。

前作みたいに、直接的ないじめ・ハラスメントを受ける設定だと、観客の中で『あいつは敵だから復讐してOK』というような整合性を作れます。
でも、本作はいい人ばかりの職場だけど、何も打ち明けられない。
それが本当の残酷さで、孤独だと思います。」

③「正気」と地続きの「狂気」・「正常」の延長上にある「異常」

名越先生:
「心はものすごい速度で動いていて、古い仏教書には、光の7倍と書いてあるらしく。
考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えていくといったふうにね。
それが本当なら、僕たち、妄想だらけで狂ってますよね?
では、なぜ、日常生活で正気を演じることができるのか?

それは、『定型文』があるからこそなのでは?と。
『定型文』をしゃべっているだけで、自分の言葉をしゃべる人は、極めて少ない。
詩人は絶滅しつつある。まさに、監督が描かれたこの映画の会社のオフィスのシーンは、定型文だけで成立している日常ですよね?」

天野監督:
「はい、そうです。」

名越先生:
「『お願いしまーす』や『お疲れさまでしたー』など、語尾が上がる感じとかね。
『定型文』だけでコミュニケーションが成立してしまうという。
表面上、合理的に回すための手法ですよね。だからこそ、人は実はすごい孤独です。」

天野監督:
「スプラッターやホラーのように、ジャンルとして血が出る様式美の映画は、それはそれで怖いし、良いと思います。
でも、一番怖いのは、その残酷なシーンに至る経緯や精神性、心が一番怖いと思っています。
僕の映画には直接的な人体破壊描写は実は入れていません。
バラバラになった人間が出てくるシーンはあっても、バラバラになるシーン自体はない。
むしろ、そこに至るまでにどういう心の動きがあったのかを、見せたいんです。」

名越先生:
「ところで、何でこういったテーマを撮り続けているの(笑)?」

天野監督:
「人は、映画の中に救いやカタルシスを求めますよね?
映画を観て、元気になりたい、前向きになりたいと。それもよく分かりますが、僕は『正気』と『狂気』、『正常』と『異常』があるなら、後者を描きたい。

正確に言うと、『異常』は『正常』の延長線上にあり、『狂気』も、本来『正気』の先にあります。決して、『狂気・異常性』は、観客にとって、他人事ではないのです。

例えば。
家を出る時に、『鍵かけ忘れたかな?』と思って、確認しに戻ることって、普通にあります。
でも、それが過剰になり、そればかりで仕事に手がつかなくなったら、それは本来正常だったはずの行動が、『異常』や『狂気』の領域になります。
そういう、誰にでも潜む狂気をハッと気づかせる媒体は無いな、と思いまして。」

天野監督:
「花子が人を殺し、その恐怖感から、手を何回も洗い、アルコールティッシュで手や家じゅうを何回も拭く(=強迫性行動)。あれは異常ですが、ティッシュで手を拭く行為自体は本来普通のことです。

不安や防御と言うのは、本来人の心に備わっています。でも、それが何かをきっかけに、過度になった時に『異常』の領域に入る。
そういう、『絵空事ではない狂気』を、お客さんに体験してほしい。自分の中に潜む地続きの感情だからこそ、怖いはずです。」

名越先生:
「真の問題から目を逸らさせるための、心の働きだね。」

天野監督:
「例えば、みんな、普段嫌なことをしてくる人に会うと、『嫌だな~』と思います。
これは、次に備えて学習するための心の防御機構だと思うのですが、それが過剰になると、その人と会っていない時でも、不安になる。」

名越先生:
「心が暴走し始めるんだよね。」

天野監督:
「だから、正常と異常って、境目がないなと。変に美化されたプロパガンダ的な映画よりも、ありのままの弱さに寄り添える方が良いかなと僕は思ったんです。」

④肉体的に抹殺した後に訪れる精神的恐怖

天野監督:
「表現したかったのは、『生きている人間による恐怖』ではなく、『恐怖の対象となる人物を抹殺した後の怖さ』です。

もう死んだはずの人間が、夢の中でナタを持って睨んでくる。それが夢に出てきて、花子がはっと飛び起きる。
花子は、脅威となる人物を抹殺したはずなのに、実はその後の方が辛い。
脳が処理しきれないから、記憶の底にトラウマとして閉じ込める。でも、その記憶が、『夢の中の青いバケツ』となって、また迫ってくる。
自分がやった都合の悪い過去に、花子は対峙出来なくなる。

一方で、根岸という人物が人肉を食べるシーンがあります。
あの人物は、自分の体内に、脅威となる対象人物を取り込んで、自分は恐怖と対峙できている、という自己暗示をしています。そういう、二人の対照的な人物を描きたかった。」

名越先生:
「西洋人がこの映画を観た時に、どういう文脈で読み解くのかが、非常に興味があります。
日本人的感覚では、肉体が魂だと。
監督は、無意識的にそれを描いている。
肉体がそこにいる限り、恨みも何も、その人はそこにいる。
だから、焼却できない。
そういう一体感があるというのが、日本人の特性なんです。
結局、バラバラになっても、その肉片が、元々その人のものだったから怖いのかなと。」

名越先生:
「西洋人からすると、理解しがたいことがあって、人が死んだ場所で祈ったり献花するという日本人の行為は、その『場所』に縛られることなんだと。西洋人は、そうではなく、例えば、教会が一番天国に近いから、そこで祈るのが一般的だと。
だから、日本で交通事故にあった現場などに献花されていると、西洋人は『あれはなんだ?』と聞いてくるらしいです。

グランドゼロでの献花は、あくまでモニュメント(=あそこで事故があったという記憶の記念碑)であって、そこに霊魂がいるという価値観とは少し違うと、ある専門家に聞いて、なるほどと思うところがありました。

でも、我々、日本人が持つ恐怖心というのは、あのバケツの中には、憎しみや悲しみが宿っているという心理。
そういった心理を描いているこの映画は、日本の風土も表わしていると思います。
物体になってしまった人間の肉体にも、恨み、後悔などがくっついているような。」

⑤本作の記憶喪失は、精神医学でいう「解離」と「分裂」の中間

小林プロデューサー:
「この映画みたいに、現実的には、都合の悪い記憶をなくすことは、できるのですか?」

名越先生:
「『解離』と『分裂』という二つの考え方があります。
『解離』は比較的浅いところに閉じ込められている。
だから、この映画のように夢の中に出てきて、『え?なんなの!?』と思うことがある。

ところが『分裂』の際には、完全に二つのものになる。
例えば『自分のお母さんの中身が、突然別人と入れ替わって、殺しに来る!』というような。
そうなると、もう自分の中にある母に対する恐怖心が分裂して、一人歩きしているわけで、別人格を作り上げていて、統合失調的な病理になってしまう。

この映画の描き方は非常に特徴的で、その中間領域のように見えますね。
前半と後半で、花子が別人格になっていて、完全に思い出せない領域もある。
精神科の世界では、ボーダーラインと言って、境界例などとも言うことがあります。

でも、一番人間が怖いのは、花子のような、完全に別人格になっているわけでもない、単純に記憶喪失になっているわけでもない領域ですね。」

(後編は次回掲載)
◆対談記事後編はこちらをクリック◆

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