残り5日「田舎の家の改修、どこまでやるべき?」
vol. 26 2025-03-20 0
残り5日:「田舎の家の改修、どこまでやるべき?」
◆ クラファン終盤、家の価値を改めて考える
クラウドファンディングも残り5日となりました。
ここまで、田舎の空き家やまちのあり方について考えてきましたが、今日は改めて「家の価値をどう引き出すか?」を深掘りしたいと思います。
田舎の家は、都市の住宅とは決定的に違います。
それは、「価格と価値が必ずしも一致しない」 という点です。
・市場が未成熟なため、家が驚くほど安く買えてしまう
・しかし、改修しようとすると、都市部と変わらない、むしろ高いコストがかかる
・にもかかわらず、改修したからといって市場価値が上がるとは限らない
この矛盾した構造があるため、「どこまで改修するべきか?」という問いは、単なるリノベーションの話ではなく、「田舎における家の価値とは何か?」という根本的な問い につながってきます。
今日は、田舎の家の改修を考える3つの視点を整理しながら、「どこまでやるべきか?」を考えていきます。
本日のテーマ「田舎の家の改修、どこまでやるべき?」
◆ 1. コスト視点 ——「いくらかけるべきか?」
田舎の家を改修しようとすると、まず直面するのがコストの問題です。
リフォームの世界では、「物件価格×1.5〜2倍の改修費がかかる」というのが一般的な目安ですが、田舎の家ではこの計算が当てはまりません。
実際に地方の空き家では、
・物件価格50万円なのに、改修費が1000万円
・一見きれいな家でも、断熱・水回りの改修で500万円
といったケースは珍しくなく、「買うよりも直すほうが高い」 という状況が頻発します。
ここで問題なのは、「直せば価値が上がる」という前提が都市部の不動産とは異なる点です。
都市部なら、「改修する→資産価値が上がる→売却も視野に入る」というサイクルが成立しますが、田舎では市場自体が小さいため、改修コストを回収できるとは限りません。
では、どのような場合に改修すべきなのか?
僕が考える基準は、以下の2つです。
1. 改修費が家賃換算で回収可能か?
例えば、500万円かけて改修した場合、6,7万円で7,8年貸せるなら回収可能です。
しかし、田舎では家賃相場が低く、4,5万円しか取れないことも多いため、改修費が回収可能かを慎重に判断する 必要があります。
2.「売る」「貸す」以外の活用法があるか?
家族が住み続ける前提なら、改修コストを投資ではなく「住みやすさのための必要経費」と考えることもできます。
その場合、「いくらかけるか?」よりも、「どこを快適にするか?」が重要になってきます。
◆ 2. 機能視点 ——「住みやすさをどう改善するか?」
田舎の空き家の多くは、現代のライフスタイルには合っていません。
特に、都市部と比べると住環境としての機能が不足していることが多く、
「修繕すれば住める」ではなく、「快適に住めるか?」という視点が欠かせません。
田舎の空き家にありがちな問題
・断熱材がないor極端に弱く、夏は蒸し風呂・冬は極寒
・間取りが現代の生活に合わず、水回りの動線が悪い
・古い建具のままで、気密性が低く、結露やカビの原因になる
こうした問題を解決するには、最低限の改修が必要になります。
例えば、
・床下・壁に断熱材を追加する → 冬の底冷え対策
・サッシを二重窓に変更する → 結露・湿気対策
・間取りを適切に調整する → 生活のしやすさ向上
しかし、これらの改修には数百万円単位のコストがかかります。
そのため、「この家をどこまで直すのか?」を慎重に判断しなければなりません。
改修に見合った快適性が確保できなければ、「リフォームしたけど結局住めない家」になってしまいます。
◆ 3. 文化的視点 ——「この家を残す意味があるか?」
田舎の家の価値は、不動産市場の評価だけで決まるものではありません。
その家が「地域の景観や文化を支えているかどうか?」という視点も欠かせません。
例えば、
・歴史ある町並みの一部をなす建物は、個人の家でなく地域資産としての価値がある
・地元で何世代にもわたって受け継がれてきた家は、地域の象徴的存在になっている
・漁村や農村特有の建築様式を持つ家は、その土地のアイデンティティを示す
このような場合、「市場価値が低いから壊す」ではなく、「地域資源として活かせないか?」を考えるべきです。
例えば、ゲストハウス、地域交流拠点、ワーケーション施設など、
住宅以外の形での活用も視野に入れることで、改修の価値が生まれることもあります。
ただし、「文化的価値があるから残す」というだけでは不十分です。
文化的価値を活かすためには、
・維持管理の方法を明確にする(管理者を決める)
・地域住民や行政と連携し、支援を得る(負担を個人だけに押し付けない)
・活用のアイデアを具体化する(地域にとって価値がある形にする)
といった仕組みづくりが不可欠です。
◆ さとまる不動産が目指すもの
僕たちは、「すべての空き家を残す」ことを目指しているわけではありません。
また、単純に「壊して新築にする」という考え方でもありません。
大切なのは、「どの家をどう活用すれば、その地域がより良い形になるか?」という視点です。
・改修コストが見合わない家は、無理に修繕せず活用の選択肢を広げる
・最低限の改修で快適に住める家は、適切なリフォームを施し移住希望者につなぐ
・文化的価値がある家は、地域の資産として活かせる方法を考える
そして、その判断を「持ち主任せ」にするのではなく、自治体や地域と連携しながら決めていく仕組みを作りたいと思っています。
◆ 現在の進捗
・支援金額:706,000円(70%達成)
・支援者数:56人
・終了まであと5日
このクラウドファンディングが、「田舎との関わり方の選択肢」を広げるきっかけになれば嬉しいです。