【王子スタジオ1について】(伊坂)
vol. 37 2020-04-15 0
こんにちは、花まる学習会王子小劇場スタッフの伊坂です。
当劇場では王子スタジオ1という稽古場を運営しています。佐藤佐吉演劇祭2020でも、劇場と同様に6週間で6つの公演の会場として使用されるはずだった場所です。
僕は昨年からその管理を担当していますので、今日はそのスタジオについて書いてみます。
僕がスタジオに初めて入ったのは2016年、演出助手と音響をやった公演の稽古場としてでした。当時はお手伝い程度でしか公演に関わっていなかった上に久々に年上の方が多い座組だったのでガッチガチになってましたね。掃除なんかで一人でスタジオにいると今でもそのときのことは思い出します。
天井が高いせいもあってエアコンがなかなか効きにくくて、そのときは冬だったので結構寒かったんですけど、そのおかげで実際の広さより開放感があって。殺風景といえば殺風景なんですけど、圧迫感のない空間で不思議と居心地が良かったことは覚えています。
あとは固定稽古場というものに馴染みがなかったものですから、そのメリットはとても大きいんだなとそのとき知りました。物を置きっぱなしにできるということはもちろんですが、打ち合わせや作業なんかもスムーズにできて、創作に向けられる集中力が全然違ってくるんだなということを実感しました。
今記録を辿ってみたら王子スタジオ1がオープンしたのは2009年のようなのですが、劇場の方にはよく来ていたにもかかわらずスタジオのことはそれまで全然知らなかったので、せっかくですからこの機会にまだご存知ない方にもスタジオのことを知っていただけたら幸いです。
王子スタジオ1は、劇場が面している北本通り(きたほんどおり)をそのまま2分くらい歩いていったところにあります。
花まる学習会王子小劇場くらいのサイズの舞台実寸がだいたい取れて(もちろん王子の場合は組み方にもよるのですが)、劇場を利用していただく団体さんにはかなり思い切った割引料金がある上にそのまま搬入していただけるので、特にオススメです。
担当である僕が一体何をやっているかというと、団体さんとの契約や、利用初日と最終日のあけしめが主な仕事です。あと公演のときは事前の打ち合わせから仕込み・バラシの立ち会いもやっています。今のところ寝坊したことはないんですが、寝坊する夢から覚めて仕事へ向かうことは度々あります。一人で担当しているプレッシャーもありつつ(ああ、でも他の職員にもかなり助けられています。この場を借りて、ありがとう!)、たくさんの団体の方々とお会いしてお話しする機会があるのは楽しく、役得だなぁと感じております。
あ、そうそう、よく「2があるんですか?」と訊かれるのですが、今までのところはありません。いつか2、3と増やしていく願いを込めてオープン時に命名されたようです。おかげさまで近年稼働率も上がってきて僕も2ができればいいなと思っていますので、良い物件があればぜひ教えてください。ちなみに1の読み方は「イチ」派なのですが、正式に決まっているわけではないので「ワン」でもOKです。あと何故かロゴには「1st」と書いてあるので「ファースト」でも良いかと思います。
そして、僕が職員になったのは2017年の春なのですが、スタジオの公演利用が増えてきたのもこの頃みたいですね。一昨年は演劇祭を含めて8団体、昨年は9団体の公演が上演されました。職員になってからそのほとんどを観てきて、僕はスタジオ公演が大好物です。
劇場と同様に使い方の自由度が高く、その反面劇場以上に制約が大きいので、その中で劇団が劇団それぞれの挑戦をしているのがとても面白いです。制約というのは具体的には楽屋がないこと、外からの光や音が入りやすいこと、単管バトンや音響照明の機材がないことなどなど、細かく挙げればキリがないですがそういったことです。使っていただいた団体さんはそこをうまく「スタジオだからできる」「スタジオでしか観られない」作品にしてくれていて、大げさな言い方と思われるかもしれませんが、いつも感動しています。
僕自身も、担当になる前に一度だけ音響としてスタジオ公演に関わったことがあります。
空間をそのまま生かした倉庫という設定のガラクタをいっぱい配置した舞台で、仕込んだスピーカーや配線を隠すということを初めて本格的に考えた公演でした。それ以外にも使っていない古いスピーカーをガラクタに混ぜたり蛍光灯のスイッチの音をマイクで拾ったりと、かなり遊び甲斐がありました。公演会場としては最も小さい部類に入るかと思いますが、こういう手の届く空間で試行錯誤して工夫してという経験は、今もめちゃくちゃ役に立っています。
稽古場としてもそうですが、今後もっと公演にも活用されるのを見てみたいと願っています。
と、ダラダラと書いてしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
今は劇場とともに再開の時が来るのを待つばかりですが、再開したときには良い作品づくりの一助となれるよう、これまで以上に尽力する所存です。
まだ見ぬ作品たちが生まれ育っていく場として、劇場とともに、どうかこれからもよろしくお願いいたします。
また、引き続きクラウドファンディングへのご支援も、よろしくお願いいたします。
王子スタジオ1
http://oji-st1.blogspot.com/
※料金・設備・空き状況などがご覧いただけます。