技術監督・黒太『王子小劇場の思い出③〜子育てと照明の共通項?編〜』照明図面つき
vol. 22 2020-03-31 0
いつもお世話になっております。
花まる学習会王子小劇場、技術監督の黒太剛亮です。
この振り返りも2016年までやってきました。2016年4月からこの劇場に勤務しているので、早いものでもう4年になります。あの頃にはこんなコラムを書いているとは思っていませんでした。黒猿としては、2016年、2017年が今までで一番忙しかったです。地獄のようなスケジュールでしたが、仕事があるというのは本当にありがたいことですね…。
それでは今日も粛々と始めますね。(いつもどおりですが、図面が見づらかったらこちらからpdfで見てみてください。クラウドファウンディングが終わったら多分消します。)
・2016年3月 レティクル東京座『昴のテルミニロード』
【画像/201603 レティクル東京座「昴のテルミニロード」吊り】
【画像/201603 レティクル東京座「昴のテルミニロード」ギャラリー】
【画像/201603 レティクル東京座「昴のテルミニロード」床】
マイクスタンドオペだったものが、基本的にピンスポット対応になりました。僕もピン振りながらオペしてました。大量のキッカケをほぼ全てフットスイッチでやってて、しょっちゅう足攣ってたなぁ。
前回と大きく違うのは前明かりの色ですかね。何で変えたんだろう…。あとUHQ吊るのやめましたね。あれ派手で良かったけど、面倒だったからなぁ…苦笑
この美術はイントレの階段が上下に移動して絵が変わる、というものだったので、階段の中の仕込みは全部のケーブルをまとめてマルチケーブルにしてました。ちまちまとビニテ巻いた記憶があります。
このタイミングで気が付いたんですが、Keysに載ってる劇場ケーブルの数が今と全然違います。王子に入るといつもケーブルが足りないし、中途半端な本数で面倒だったので、劇場職員になって一番最初に取り組んだのが照明ケーブルの整理でした。暇さえあればずーっとケーブル直したり作ったりしてましたね。
・2016年3月 カミグセ『隣の芝生の気も知らないで』
【画像/201603 カミグセ「隣の芝生の気も知らないで」吊り】
【画像/201603 カミグセ「隣の芝生の気も知らないで」仕掛け】
なんだこりゃ、スペシャルのネライとかばっかり…。チャンネルの名称に役者さんの名前がずらりですね。チャンネルの並びって人それぞれだと思うんですが、僕は地明かり→使いまわせるバックとか出物系→各ページのスペシャルって並びにしてます。こういう仕込み図だとシュートの時にしょっちゅう何のシーンだか分からなくなるんですよねー。L728に当たるQ本さんが綺麗だったなぁ。大体、どんな芝居でも使いまわせるものは使いまわさないと仕込みがえげつなくなるよね、というのは思うんですけど、どうしてもそれが出来なくて、こんなことになりました。
仕掛けの図面になってるものが全部昇降バトンになってて、芝居が進むごとにバトンが下りてきて明かりが完成していく、という仕込みでした。自分で説明してても嘘だろ、と思うんですけど、本当にやったんだよなぁ(大変だったのは僕ではなく舞監さん!小川陽子大先生いつもお世話になっております!!!)。
長いことやってると段々その会社だけで通じるスラングってどうしても出来てきちゃうと思うんですけど、といっても他の会社がどうなのかはあんまり知らないですが、当時の僕の弟子が考えてくれた色(パステルカラーの組み合わせ)をつくにさんがペロペロしたいくらい可愛い、と言ったことから、黒猿ではそういう色味のことをペロペロ、と呼ぶようになりました。もう4年近くパステルカラーのことをペロペロって呼んでますね。
・2016年7月 中高生演劇サマースクール2016 集中コース発表公演
『僕たちはなんとなく幸せになるんだ』
【画像/201607 サマースクール】
主催事業でやっている催し物の照明は時間に限りがありすぎるものが多くて、通しを見たり打ち合わせを終えてから1時間で図面を描いてそのまま即仕込み!みたいなことが当たり前なのでなかなかデータが残りません(手書きをそのままコピーしちゃうので)。
サマースクールはその中でも唯一と言っていい図面の残っているシリーズです。(残しておいて本当によかった…)
例えば悲しいものを悲しい、楽しいものを楽しいとそのまま表現するかというのは表現で悩む中の1つだと思うのですが、サマースクールはエモいものをエモい!!!ってやっていいなぁと思っているのでとても清々しく気持ちいいです。
池亀さんは同じ舞台の使い方で毎年やってくれたので、使い方のパターンとしてはとてもいい研究でした。
このコラム、娘(0歳9ヵ月・天使)の寝かしつけをしてから書いてるんですが、寝かしつけと照明って似てますね。この歌を歌ったら寝た、この揺れ方で寝た、とかのデータを蓄積してより良い寝かしつけ方法を模索するのと、色と色の組み合わせをこねくり回してみたり、角度で変わる影の出方を考えたりするのは、なんだか似ているように思います。娘自身が日々アップデートしていくので昨日の寝かしつけが通用しないところと、機材が進化してついていくのにやっとこさなところも、似ています。
なんだか反響も頂いていて、ありがたい限りです。また読んでくれたら嬉しいです。
花まる学習会王子小劇場 技術監督 黒太剛亮