製作秘話!
vol. 3 2017-01-14 0
全国的にこの週末は大寒波が来るということで、皆さんいかがお過ごしでしょう?寒くなると暖かい時季が良かったと思い、暑くなると冬のほうがましだ、と思うのは頭の悪い私だけでしょうか?映画『ろくでなし』の方はいよいよマスコミ試写も始まりだして、本格的に宣伝活動が動き出します。そこでプレスに発信するプレスシート用に、暑かった日々を思い出しながら書いた、プロダクションノートの一部分、頭の悪ーい私(私たち?)の話をご紹介します。また、今後はもっと裏のお話なども写真(オフショット)を交えてご紹介していこうと思っています。
プロダクションノート
2016年3月、始まりは山本政志監督からの一本の電話だった。
「おーー、しんちゃん?ちょっとさ~、会わせたいやつがいるんだよ。ちょー馬鹿で面白れぇ~から~、今度うちのシネマインパクトで講師やるから、一回会ってみてよ!」
雰囲気で分かる人には分かると思うが、馬鹿というのは政志さん流の最大限の褒め言葉。
政志さんとの付き合いは15年ほど前、初対面の時にかなりハードな、どつきあいで始まり、次の日に飲みに行って仲良くなったという、中学生みたいな出会い方をしていた。
それから10年以上、プライベートな関係はあったが仕事はしたことがなかった。
そして前作『水の声を聞く』で初めて仕事をすることになった。きっとえらい目に合うなと覚悟はしていた・・・しかし、これが予想に反して、拍子抜けするぐらいとても楽しかった。映画も大好きな作品になった。
そんなこともあって、何やかんやと腐れ縁。どうせ巻き込まれるんだろうなと思いながら、電話から一週間後にはその監督と対面することになっていた。当日、政志さんがやっているシネマインパクトの事務所に行った。そこに訪れたのが、奥田庸介だった。
そこで政志さんから提案されたのは、シネマインパクトの一環でワークショップの生徒たちを使い、200万円の予算でやってほしいという話だった。
僕自身お手伝い程度に参加するのかな?ぐらいに思っていたので、あまり気乗りはしないがしょうがないかなと思っていた。
しかし、奥田庸介のワークショップを見学して事態は一変した。とても熱のこもったワークショップだったのもあるが、何といっても奥田庸介の演出が驚きだった。その時点で『東京プレイボーイクラブ』も『クズとブスとゲス』も観ていたので、かなり情熱的にエネルギーを開放していく感じなのかと思いきや、全く逆でとても冷静に生徒達の演技を見て、とても理知的に論理的に説明して感情を開放させていく。
見学が終わった頃には200万円のワークショップでやる気はなくなり、企画を変えて劇場公開用の映画として、もう少し予算のあるものにしようと決めていた。そしてそのことを政志さんに伝えた。俺も本格的に関わるから三人でがっつり組んでやらないかと、政志さんもそれに賛同し、ここに最狂?最凶?のタッグが組まれた。
奥田庸介の凝縮されたエネルギーと、山本政志の世界に拡がる発散力、こんな面白い組み合わせはないと、本当にわくわくした。
そこから、製作の資金集めと、脚本・キャスティングと本格的な準備がはじまった。
しかし、今思うとこの二人、水と油という次元ではなく、塩素系と酸性、完全に混ぜるな危険であった・・。
その兆候は脚本をやりだしてすぐに始まった、強烈な個性と個我は交わることなく、打ち合わせの度に、ギクシャクどころか一触即発。推敲を重ねる度に関係悪化、強烈な分裂因子を内包したまま製作準備が進んでいった。そして、クランクイン前にはすでに破綻寸前、イン前日に決闘状態!それでも、その場で一応の手打ちがあり、折り合いをつけてなんとかクランクイン。
無事にクランクインにはこぎつけたものの…