なぜ、選択肢がないのか
vol. 11 2018-02-02 0
今日も、新たなご支援をいただき、本当にありがとうございます。
ゆっくりとではありますが、着実に進んでいます。
まだまだご支援、よろしくお願いいたします。
今日は、「隣人~Neighbor~」の中身について少し触れることにします。
作者の個人的なこだわりですので、興味がない方はスルーしていただいて、けれど、もしこの作品に興味がおありで、支援をご検討の方はよかったら目を通していただけるとありがたいかなと思います。
「隣人~Neighbor~」は日常をテーマにしたホラー作品です。
とあるアパートに引っ越してきた女性、悠木佳枝がその初日の夕方、あいさつ回りをしようと隣の部屋に行くけれどインターフォンに応答がない。留守かとその場を離れようとすると、インターフォンから唐突にノイズが聞こえます。
ザ……ザザ……
なんだ、いるのか。そう思ってインターフォンの前であいさつを繰り返した佳枝の目の前でいきなりドアノブが激しく動き始めます。
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ……!
そこは、紅い夕陽刺すアパートの通路。
他に人影はなく、その音はやけに大きく響きます。
途端に恐怖に囚われた佳枝は慌てて階段まで走りました。曲がり角を曲がる刹那、ちらりと振り返った彼女が見たものは、隣の部屋のドアがわずかに開き、そこから覗く白い……手。
それは到底生きた人のものとは思えない不気味さを持ち、佳枝の脳裏に鮮烈に残るのでした。
本文とは違いますが、これが「隣人~Neighbor~」の導入部分です。
茜差す夕暮れ時。
逢魔が時、とも呼ばれる時間です。
昼と夜が入れ替わり、死者が蠢き始める時間。
そんなワンシーンから始まる「隣人~Neighbor~」は、選択肢のないヴィジュアルノベルです。
ゲームではないのですか? と佳枝役の河村梨恵さんがファンの方から聞かれたそうで、私は「ノベルゲームのようなものです」とお答えしました。
では、なぜ選択肢がないのか?
元の作品が小説である、ということもあります。
ですが、この物語には順を追って進んでいくことで初めて、見えてくるもの、手に入るもの、そして残された謎がたくさんあるのです。
選択肢を作るということは未来を分岐させるということです。
分岐させた未来に、取りこぼした何かがあればそれは作品として完全なものにならない。
私はそう考えました。
一見不完全に見えてしまうものを提供するくらいなら皆様には佳枝と大吾とともにシャトレ・ロマーヌの謎を追いかけ、考え、彼らが感じるもの、見るものをそのまま体験していただきたい。
そのために、今回はTIPSのようなものも作る予定です。
一篇の小説を読むように。
一本の映画を見るように。
皆様には、ぜひともこの「隣人~Neighbor~」の世界を楽しんでいただきたいと思います。