<製作ノート⑥>アメリカ編(&『メンタルスケッチ』製作記録)【2017年7月】
vol. 17 2021-09-23 0
『ブラックホールに願いを!』監督の渡邉です。
2017年7月、相変わらず僕は友人たちと企画を立案しては再考する日々を送っておりました。
「これではいかん、何かもっと別の視点を持たなければ」と強い閉塞感を感じ、また、個人的にも人間関係でいろいろあり、当時アメリカ・ロサンゼルスに留学していた撮影監督・角洋介の家に1ヶ月転がり込むことにしました。
ロサンゼルスの開放的な気候の中で、新しい日々と出会う...かと思いきや、
結局そこでもひたすら毎日アイデアを考え、書いては消すだけの日々でした。角くんの下宿からほとんど外出せず、ひたすら生物学の本を読み、唯一の外出は徒歩1分のマクドナルドだけでした。角くんは言いました。「こいつ何しに来たんや...」
『メンタルスケッチ』
現地で、俳優を目指している日本人の斎藤陸さんに出会いました。ニューヨークからアメリカを横断したことのあるという、面白い人でした。せっかくなので、斎藤陸さんを主演に一本短編を作ろう、という話になりました。
そこから今度は、短編の企画を考える日々が始まり、それまで以上に僕は下宿から出なくなりました。学校から帰った角くんに脚本を読ませて、角くんが「うーん...」と微妙なリアクションをし、また新たに脚本を書くという日々が続きました。
最終的に、日本で起きた僕の個人的な人間関係の問題をそのまま映画にすることになりました。作品はかつてないほど自分の内面を反映したものになり、タイトルはそのまま『メンタルスケッチ』としました。
その当時の僕の精神的混乱がよく表現されており、「意味不明」「とっちらかりすぎ」「わけがわからない」などの評価をいただきました。もっと精進いたします...。
特に理由もなく車で10時間かけてグランドキャニオンにも行きました。
そして斎藤陸さんにはその後、『ブラックホールに願いを!』にもご出演いただきました。
『メンタルスケッチ』での斎藤陸さんの役名は”マサト”で、『ブラックホールに願いを!』でも同名の”山之辺真人”として登場いただいております。
アメリカ滞在の最後の1週間は西海岸中を走り回る結果となりました。撮影を終えた翌日、ギリギリで日本に戻りました。
『メンタルスケッチ』はその後、ありがたいことに国内外多数の映画祭で上映いただき、いくつかの賞を受賞することもできました。
そしてそれらひとつひとつの映画祭での出来事が、その後の僕の企画開発に大きく寄与し、それらの映画祭での出会いが『ブラックホールに願いを!』に繋がっていくことになりました。そういう意味で、作って良かったと思える心象スケッチでした。
そんなわけで次回は、『メンタルスケッチ』が上映された映画祭での出来事について書こうと思います。