「対話」が生まれる場をつくる
vol. 22 2025-05-06 0
「刑務所アート展」は、刑務所で過ごす人たち、刑務所とかかわる人たちの芸術表現を集め、展示することで、塀の内と外をつなぐ対話を生み出す活動です。
これまでに2回、展示会を開催し、全国約30か所の刑務所から送られた延べ250以上の作品を、1,000人以上の方々に観ていただきました。来場者からいただいた感想コメントを、一人ひとりの応募者(受刑者)に郵送でフィードバックすることで、直接やり取りすることができない刑務所内外の人たちをつなぐ「対話」を媒介しています。
応募した受刑者からの手紙を一つ、紹介させてください。
――社会でなかなか自己表現ができず(間違った表現ばかりでした)、自分がどうしたいのか、どう想っているのか、自分自身分からずに来ましたが、こうゆう機会があると、自分の感情が素直に作品に出るので、新しい自分にも出会えたりします。どうゆう評価が頂けるかわかりませんが、きっとやってみるのが大事なのだと改めて思いました。
このように、「作品」をつくるという行為そのものが対話の起点になります。そこには自己との対話があります。また、その作品を人が観賞する場を与えられることで他者への想像力が喚起されるのです。
作品と対面した鑑賞者の内側でも対話は起こっています。
来場した、とある事件の被害者遺族からのご感想も紹介します。
――自分も事故の直後は許せない気持ちでいっぱいでした。それでも時間が経ってくると少し変わってくる思いもあって...。加害者の相手はまだ刑務所にいるのですが、最近会ってみたいという気持ちが少しあったりします。他の家族は会うなんてまだ考えられない状況だと思うのですが、加害者や犯罪をした人がどういう気持ちでいるのか知りたくて展示に来てみて、たくさんいろんなものを知ることができて、本当に貴重な展示でした。
回を追うごとにPrison Art Connectionsの活動に携わる仲間も増えてきました。私たちは、
「犯罪」とされる行為に限らず、
人が人である限り、共に社会をつくり、関わり合う限り、
私たちは、いつでも間違え、衝突し、傷つき合うリスクと共に生きている
それでも、だからこそ、私たちは「対話」をし続けなければならない
という考えを大切にし皆で共有しながら、第3回刑務所アート展の準備を進めています。
今回集まった作品は約200点。設定したテーマに沿って書かれたたくさんの手紙、絵画や書、マンガ、詩、短歌、俳句、川柳、エッセイ、小説などを展示します。
会期は5月24日(土)から6月14日(土)。
東京・墨田区の京島劇場(最寄駅:京成曳舟)をメイン会場に近隣の複数施設で展示やイベントを展開します。
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5月26日まで、第3回「刑務所アート展」展示会の開催資金を集めるため、目標250万円のクラウドファンディングを実施しています。より充実した対話の場をつくるため、ぜひ、あなたの力を貸してください。