シャチの家系図を見てみよう!
vol. 4 2016-06-27 0
こんにちは!
オルカラボボランティアのトモコです。
ぴょーん
今回のアップデートは「シャチの家系図について」です。
初回のアップデートにも記しましたが、シャチって1種類じゃないんです。
魚を食べ、あまり広い範囲を旅しないレジデント。
哺乳類を食べ、獲物を探して広い範囲を旅するトランジェント。
あまり詳しい生態が判明していないオフショア。
雑食タイプと見られているクローゼ諸島沖のシャチ。
南極のA、B、C、Dタイプ。
細かく言えばもっといますし、今まで知られていない種類がこれからの研究で判明するかもしれません。
カナダ西海岸の魚を食べる群れ、レジデントには
「ノーザン・レジデント」と「サザン・レジデント」がいて
わたしたちは「ノーザン・レジデント」の調査をしています。
ここからはマニア向けのお話です!笑
ノーザン・レジデントには3つの「クラン」と呼ばれる、いわゆる部族が所属しています。
クランが違っても仲間ですが、鳴き声は異なります。
さらにそれぞれのクランには「ポッド」と呼ばれる群れが所属しています。
AクランにはAポッドと、B、C、D、H、A-Iポッドが属しています。
B、C、D、H、A-Iポッドは合わせてBサブクランと呼ばれることもあります。
むずかしい!!
ややこしくなってきたのでちょっとひと休みして
水面にひょこっと出てきた野生シャチのお顔を。
ちなみにこの行動、「スパイホップ」と呼ばれています♩
さあ、続き!
先ほど出てきましたね「ポッド」。
例えばAポッドにはA1、A4、A5というみっつのポッドが所属しており、
それぞれのポッドにいくつかの家族が所属しています!
わからない?大丈夫です。
わたしも最初はさっぱりわかりませんでした。
この複雑なシャチの社会構造、もちろん最初から人間がわかっていたわけではありません。
長年の調査・研究によって判明したものなのです。
現在、それぞれの家族の鳴き声には「方言」があって
血縁関係が遠くなればなるほど、鳴き声が違ってくることが知られていて、
声を聞けばどの家族の声かすぐにわかるのは先輩研究者たちのおかげなのです。
しかし、いったん知ればそれで終わりではありません。
時が流れてシャチの世界にも世代交代があり、どこかの母親が死んで娘が新たなリーダーとなったとき、
方言が微妙に変化してきたりします。
生き物の世界は時間の流れとともに変化します。
だから調査も継続しないといけないんです。
ただ、先ほどまで述べてきたような社会構造や、
どの家族にどの個体が属しているのか全て覚えるのはとっても難しい…。
わたしたちでも全部覚えていられるわけではありません。
そこで!
わたしたち調査員や研究者が使用している特別な本があります。
「個体識別カタログ」
すなわちノーザン・レジデントの全家系図です。
数年ごとにアップデートされるこのカタログ、昨年のシーズン末に最新版がリリースされ
制作に関わったジェレット・タワーズ氏によって一般の方にも無料で公開されています。
これをアップデートするためには全てのシャチたちの写真を揃えなければならず、途方もない時間がかかったはずです。
ジェレッドさん、ありがとーう!!涙
ジェレッド・タワーズさん監修のホームページ
のトップページからRESOURSESをクリック→Publicationsをクリックして
次のページにある2つのリンクのうち下のほうをクリックすると、全ページをダウンロードできます。
(ちなみに上のリンクはBiggs-トランジェントですので興味ある方はそちらもどうぞ)
※その後に出てくる「Join for free」っていうのはそのまま閉じても大丈夫です。
開いたら最初は英語ばっかりですが、pdfページの20ページめ(ふってあるページ数ですと15ページ目)から家系図の写真になります。
ノーザン・レジデント全頭の個体識別写真がご覧になれます!
ページ数多いですが、頑張ってプリントアウトするのがおすすめです。
ぜひ1頭ごとの背びれの違いを比べてみたり、好きなシャチを探してみてください!