土壁に囲まれて、感覚が研ぎ澄まされる
vol. 56 2020-08-25 0
あと7日間、クラウドファンディングの終了まで。
古民家の土壁が、少し乾いてきた。
無事に乾いてきて安堵した。最悪の場合、剥離したり、ひび割れを起こすこともあるのだが、今回は古い壁にうまく馴染んでくれたようだ。
土壁に囲まれて立っていると、これまでと全く異なる空間にいるような、不思議な感覚になる。さしずめタイムスリップしてしまったようだ。
古代から続く、その技法は、本当に、ついこないだまで存在していたのだが、今ではすっかり絶えてしまいそうだ。結局、今回の壁の赤土は、すべて解体した古民家の壁を再利用した。まさにエコではないか。ちなみに、こちらの島では、粘度を高めるために海藻を利用しているそうだ。
さらに、梁や柱も、しっかり観察すると、どこかで使われていた形跡があり、再利用されているのだろう。
いつから日本は、使い捨ての文化になってしまったのだろうか。
古来、日本では、モノを大切にしてきた。
今回の壁塗りに参加された方は、長野や山梨からの方もいて、その方の家も古民家を再生させるため、このような土壁塗り会を開催して集まってもらったそうだ。今度は、他所の再生に参加したく、音戸までやってきてくれた。そして、私たちは、彼らに食事でもてなした。
そういえば、江戸時代の家づくりも、持ち回りでお互いに、手伝い交換をして、主催者は、彼らをもてなした。現金収入の少ない時代の知恵である。
土壁に囲まれていると、自然の中にいる感覚になり、ほっとするのだ。まさに自然と共存してきた日本人の感性に合うのだろう。
是非、多くの方に泊まって体験してもらいたい。