【今日のおおみか会議室】会場構成の目線から考えてみた @ 2月15日
vol. 6 2022-02-19 0
建築学生4人で大みか町を訪問!
2月15日、会場構成を担当する新たなメンバーを加えて大みか町を訪れました。会場構成チームによる話し合いをお届けします。
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◎「今日のおおみか会議室」とは?→プロセスを大切にする芸術祭として、手探りでプロジェクトを進める運営の奮闘の様子をアーカイブ。想像もつかなかった答えがみんなの会話から生まれることもあるこのチーム、何気ない会話の中に大切なヒントがあるかも…!
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【今日の参加者】
関田:制作統括。本日は大みか町の案内役。
尾花:会場構成担当。今日は仲間を連れてきました。
井出:尾花の友達でプロジェクト新メンバー。
鳥山:同じく新メンバーで、今日のドライバー。
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久慈漁港にて
関田:普段から、この3人で活動しているんですか?
尾花:そうですね、よくいる3人。研究室とかのプロジェクトとかもいっぱいやってきているし、コンペとかもこのメンバーにプラスで何人かという感じ。今回の会場構成の助成に関しては3人で話し合っています。研究室のプロジェクトも落ち着いてきたので今回誘ってみました。
建築の目線で大みか町をリサーチ
関田:そもそも、今日は何の目的で大みかに行ったんでしたっけ?
尾花:敷地をちゃんと見たことが今までなかったし、二人に話はしていたけど大みかに行ってなかったので⋯⋯
井出:初参戦組は実際に行ってみないとイメージわかないので、2日前に「今日行く?」みたいな話で決まりました笑
関田:前回の大みか訪問の夜に決まってたんですね!
関田:僕としては、建築学生と大みかの町を見るっていうのはずっとやってみたかったことで、実は楽しみにしていて!今日は、リサーチ的に見れたらいいなと思ったりしてました。
尾花:今日は現地で人に会う予定もないので、敷地もいつまでもいれるような自由度があったね。
関田:純粋に楽しめましたね!
JR大甕駅前の様子
実際に敷地見学!その第一印象は⋯⋯
関田:会場となる敷地を見ながら、住民にどう参加してもらうかみたいなことを話し合いましたね。土の壁をどうやって登るのかとか、作品の背景に使ったらいいんじゃないかとか。あの敷地に対して、具体的な話し合いが、今日初めてできた気がします。
尾花:ある意味あの断崖絶壁って、新しい大甕駅のアイデンティティじゃないですか?割と急にできてしまったけど、ぜんぜん変えようもない要素であって。あそこでしかできない展示の仕方はあるよね。作品の背景に使うでもいいし、逆に今日みたいに人が触れるような一つの近さを会場構成を通して与えるとか。あの斜面って実は、すごい特徴を「西口」に刻んでるなって感じはする。
井出:もともと図面では見ていたけど、想像よりもずっと高くてすぐ上がれない。
関田:なかなか、斜面を登れませんでしたね笑
井出:そうそう、泥だらけになった笑。でも、上と下の隔たりがあるけど、隔たりを作っている崖面は意外といいなって。高いがゆえに、壁的なものに感じられるけど、作品の背景にはちょうどいいし、素材感も距離が変わると表情や見え方も変わるし、近づくと土に触りたくなるとか、いろんな感情が生まれて。美術館のようで、自然的だし。
関田:青森県立美術館って土の中に展示したりしてるけど、そういう空間が駅前に露出してるっていうの特別ですよね。敷地の隣のイバキリの壁は舗装してるけど、ああなると土地の魅力が一つ失われてしまう気がする。仮設的なイベントって、何もない空き地から始まることがあるけど、舗装すらもされていない土地っていいなぁって。その魅力に気づけたのは今日の発見ですね!
敷地の「地層」を登る井出さん
「地層」が会場構成のきっかけに⋯⋯?
井出:ちょっとキーワード的に「地層」って言ってたけど。
関田:「西口の地層」ね!大みかの人たちって、出口がもともとなかった場所だから「西口」って言われてもピンとこないみたいなんです。地層って勝手に名をつけちゃうっていうのもあり。
尾花:やっぱり、市民の人にとって今はただの駐車場で、空地だと思われてる気がする。あそこに、ある使い方の一側面を与えられるだけでも本当に面白い。
関田:そうですね⋯⋯会場の名前やっぱほしいですね!
鳥山:「地層」って言って盛り上がるのはあんまり笑 市民の人が「地層」に反応するかどうかわからないから、もう少し寄り添っていった考えをしたいね。
井出:でも、俺らは「地層」の楽しみかたを味わって、知ってしまった!登ったり笑
広大さを演出する会場構成
尾花:おもってたよりちょうどいいサイズだとも言ってたよね?
鳥山:そうそう、写真で見たときもっと大きいと思ってて。実際見たら、大型作品が一個だけでもいいと思った。たくさん置くと、逆に狭くなっちゃうんじゃないかな。あと、断片的に見るよりも、あの開放感とか地層の長さが気持ちいいなって。やっぱ空が見えない都会と違って、あの敷地に行って空が見える開放感はちょうどいい大きさだよね、あの広大さをなくしたくないと思う。
井出:細長い画廊のようにも見えた。一定の間隔で並べて、歩かせるとか。
尾花:置き方すごいシンプルでも、実は地層との関係もあってすごい体験的になる。展示室とは違う体験性が生まれると思う。
関田:大きい作品と、小さい作品が並んでいたらより体験的になるだろうし。
尾花:具体的なアートのサイズが分かってくるといいよね!
井出:足元の話もしたよね。現状の駐車場は砂利が敷かれているけど、例えば作品の周りだけ砂利をかき分けて土を露出させてエリアを示したり、人の動線を示したり。一時的な展示にふさわしいしつらえ方としてあるんじゃないかと思いました。
関田:砂利をかき分けて土を出すって、地層の前でやると然違う気がする。地球を感じる。そういう広場になったらいいですね。
井出:地層にほれ込んでいるけど、歴史的な背景とか意味もみつけていきたいな。
大甕神社で宿魂石を登る
関田:歴史といえば⋯⋯その後大甕神社に行きましたね。ここでも、地層を登り参拝しました
岩山全体を宿魂石といいます。この岩群は日本最古といわれるカンブリア紀層(約5億年前)の地層で、甕星香々背男の荒禮が鎮められております。
関田:そういえば、西口の敷地でも、たぶんずっと掘っていったらカンブリアの岩を発掘できますね笑
尾花:登って降りるコースが指定されているの珍しいよね。博物館的だった。
井出:岩登って降りて、石の門があったり。アトラクションみたいに、盛沢山だった。
鳥山:私は星と海の芸術祭の「星」の由来を知ることができてよかった!
プロジェクトを知った時の印象は?
関田:初参加の2人は、今日、プロジェクトについての話を聞いて、どう感じましたか?
井出:そうですね。この話を聞いて面白いなと思ったのは、よくあるアートイベントとは違って、このまちに既にある工場の産業とアーティストを結びつけるという、地域資源との結びつきが強いアートイベントという発想が新しくて面白いなと。あと、最初この町は「産業一色」という街なのかなと想像していたんですけど、実際には「大甕駅」を中心とした街の中にいろいろ性格の異なる地域があると知って。なので、大みか町という大きなくくりの中で街のいろんな性格を楽しめるような、いろんな性格をアートプロジェクトに結び付けていけたら面白いと思いました。
鳥山:このプロジェクトは、市や会社からお願いされてやるような大きいプロジェクトではなくて⋯⋯ほんとに個人と個人がつながりあっていろんな仲間ができているのがいいですよね。個人の人たちのつなぎあわせで、町を一緒に盛り上げていきたいみたいな話ができているというのは、ものすごく面白いなって。あと、学生がいっぱいいるチームだからこそ、みんなに将来を頼りにされているっていうところもあるし、町工場の人たちも学生に将来を期待しているというか。長く付き合っていこうとしてくれているのかなと思ったり。やっぱり、個人と個人でつながりあっているプロジェクトって、すごい可能性があるなって思います。
五研工業への訪問時の様子
顔が見える個人と個人がつなぐプロジェクト
井出:そうだね、大きな民間の力があるところが中心になってやってるわけではないし、小さな学生たちがいい意味で力がないからこそ、すでに地元にあるお祭りとかともいい連携をとっていきたいよねって話が出ていることとか。うまく、いい相乗効果みたいになっているところがいいなぁ。
鳥山:例えば、工場の人は、利用されちゃうんじゃないかって警戒心が生まれるかもしれない。そこが学生だと、柔軟な人の心のつながりでやろうとしているのかなって想像ができて。すごい楽しい。
尾花:常に人の顔があるよね。そこは大事にしていかなきゃいけないところだね。だからこそ、大企業からはお金をもらうのが難しくなっているけど・・・・・・。
鳥山:すごい今の段階でも、そこの試行錯誤をしていることに、感動した。
尾花:前回の会議でも出たけど、今回は「第0回」で「やること」が大事だって話が前回出たけど、ほんとにそう。今回は、人と人との関係の力だけでやることになるかもしれないし。
井出:このプロジェクトで1回それが実現すれば、「それでできちゃうんだ」って思ってくれる人がいる気がした。「協力してくれる人たちがいれば意外とできるんだ!」みたいな。いい事例になるんじゃないかなーそういう意味で楽しみ。
鳥山:「第一歩」って感じだ。
昨年のプレイベントの様子
研究室のプロジェクトと似てると思う点
関田:なるほどなぁ。こんな客観的な視点からの感想は、建築科ならではかも。
井出:いま研究室のプロジェクトで具体的な公共の設計もしているけど、どう使っていくかみたいなことも同時に検討していて・・・・・・。そのためのワークショップであったり、街の中から使い方を考える団体を作ったり。建てておわりではなくて、「ソフト面」で町の人が使ってもらえるものをどう作るかを並行して考えているんだけど。芸術祭でも、モノとして作品は作るけど、同時にどう町を盛り上げられるかというソフト面の設計では似ていると思う。
尾花:そうだね、芸術家と企業の工場の人は初対面だから、どうつなげるのかというのは、アートプロジェクトの人間にかかっていて。そう考えると、人のつながりってやっぱ大事。どれだけウェットにやっていけるかだよね。・・・・・・それと同時に、やっぱり不特定多数の参加するお客さんのこともちゃんと考えないといけないよね、それは会場構成の仕事なのかなって感じます。
(編集:關田重太郎)