竣工祭レポート<本祭日中編>
vol. 10 2015-09-24 0
葉山神社竣工祭レポート 本祭編
・竣工祭プログラム
9月20日,竣工祭の初日を迎えました。
当日のプログラムは,以下の通りです。
10時00分 竣工奉告祭斎行
11時00分~初矢(雄勝法印神楽)
11時30分~四天
12時00分~魔王退治
12時30分~蛭児
13時10分~鬼門
13時50分~岩戸開
14時40分~日本武尊(産屋)
15時30分~能舞奉納
16時00分~空所
16時25分~順唄
16時45分~所望分
17時20分~二之矢
17時55分~醜女退治
18時25分~獅子風流
18時45分~プロジェクションマッピング
19時00分 終了
・葉山神社の歴史
竣工祭初日は,晴れ。
暑いくらいの日でした。
目が痛いくらいの青空の下,真っ白な新築の神社は美しく輝いていました。
青い空。青い海。
新築の葉山神社社殿には,たくさんの人が代わる代わるお参りをされていました。
社殿の横には,神楽舞台が建てられています。
雄勝の神楽舞台は,全て組み立て式で 、くさびによって固定され,祭りの日以外はしまって置けるようになっています。
雄勝法印神楽は,ほぼ全ての浜の祭りで奉納されます。
その際,奉納されるのは神社ではなく,宮守(みやもり)とされている家の庭です。
雄勝の各浜には様々な神社がありますが,元々宮守の家の鎮守とされていた社だったそうです。
やがてそれは浜の鎮守となり,新たに社殿が建設され,そこへ御霊(御神体)が移されました。
そのため、代々宮守の家で神社を管理し,今でも神楽の奉納や,集落の役員などへのもてなしなどを行っています。
葉山神社は,本宮を石神社と言い,霊山石峰山にあります。
石神社の御神体は,磐座,つまり巨石です。
日本神話が編纂されるはるか昔からここに雄勝の住民は信仰を寄せて来ました。
記録では,1800年の歴史があると言われています。
西暦712年に完成したとされ,先日1300年の記念の年を迎えた古事記。
それよりも500年近く前から,この神社は雄勝に鎮座し,里を見守ってきました。
葉山神社はその里宮で,石峰山が修験道の霊山だった頃の業所だったようです。
そのため,神仏混淆の文化が残っており,御神体は仏様である薬師如来。
さらにそれを守る十二神像が伝わっています。
・竣工祭,雄勝法印神楽の奉納
雄勝法印神楽は,雄勝町に伝わる郷土芸能です。
日本の重要無形民俗文化財にも指定されています。
雄勝の神楽の演目は,日本神話をベースにしたものが多いですが,非常にひょうきんなものや,色っぽい演目もあります。
地域の郷土芸能は,住民の「娯楽」だったので,エンターテインメント性が豊かなのです。
20歳の神楽師の男の子に,話を聞きました。
彼は神楽部の若手メンバーで,様々な祭に参加するうちに仲良くなりました。
遷座祭の日。
「明日,魔王退治に出るので,見ててください!ちょっと,アドリブ効かせちゃおうと思うんですよね」
「僕は逃げ回る役なんですが,ただ逃げるんじゃなくって,上登っちゃおうと思って!練習でジャンプしてみたら,届いたんで,イケると思います 笑」
「笑いとっちゃいますよ!」
僕は,彼の言葉を聞いて,さらに神楽の楽しみが増えました。
神楽師である彼は,エンターテイナー。伝統の舞台でありながらも,枠を外れ,観客を楽しませたい!と思っています。
一方,僕も地域に友達が増えて来て,そんな話を聞くと,当日の神楽で彼がどんなことをやってくれるのか楽しみになってきます。
雄勝法印神楽は,文化財にも指定され,非常に深く豊かな文化,芸能である,と思います。
その豊かさはこういった彼のようないたずらっぽい思い。
そしてそれを寛く受け入れてくれる雰囲気があるのだと思います。
親戚や,友達のハレの舞台として見る神楽は,芸能として見る神楽とは少しだけ見方が違います。
美しく舞えているか,上手に舞えているか,とは別のレイヤーの豊かなワクワクがそこにあるのです。
今回の竣工祭は3日間をかけ,24番の演目が奉納されます。
その中には,今回の竣工祭をきっかけに復活した物もあるようです。
この竣工祭をきっかけに復活した演目が各祭を重ねるたび,神楽師のプライドと,こだわりにより洗練され,雄勝の新たな美しい風景になっていく事でしょう。
神楽は暗くなるまで舞い続けられ,ついにプロジェクションマッピングの奉納へと移っていきます・・・