vol.4 祭の夜
vol. 4 2015-09-11 0
雄勝,晴れ
次の日,会場は晴天でした。
神楽の奉納や,和太鼓,バンドの演奏などで会場はとても盛り上がりました。
お神輿も,もう一度!二度!三度!と何回も担ぎあげました。
神輿の上に,南三陸町の子供を乗せて。
昨日以上に,神輿を激しく,元気に!
僕は精一杯の想いを込めて,みんなを鼓舞していました。
僕らの元気が,少しでも,雄勝の人たちに届きますように。
僕は声を張り上げていました。ただ,必死に,一生懸命になって。
理屈のない叫びと,力。
僕の出来ることは,これだけなのです。
一瞬でいい。みんなの気持ちが集まれば,きっと大きな元気となって届くはず。
そう,信じていました。
暗闇の中上がる怒号
夜。辺りは真っ暗です。
この祭,最後の神輿が上がります。
最後は,みんなで。
LOMのみんなと,僕らと,そして雄勝の人たちで。
最後の神輿の上には,頼雄さんが乗ります。
二日間の最後の神輿。
最後の声を張り上げ,力の限り!
神輿が,上がります。
真っ暗なたなこや。明かりはわずかです。
しかしそこにたくさんの熱い想いがあります。
若い力があります。大きな声で,叫びました。
生きてるぞお!と。
昨日出会ったばかりのみんなと。
震災がなければ出会うこともなかったみんなと。
僕は共に,神輿を担ぐことが出来ました。
精一杯の声を!力を体中から発して。
生きていました。
神輿はフィナーレを迎えます。
最後は,何度も,何度も惜しむように神輿をやり直し,力の限り,みんなで叫びました。
僕の分と,じいさんの分。
僕の中の一生懸命を,神輿にぶつけました。
拍子木が,鳴ります。
神輿は降ろされました。
そして,僕は拍子木を頼雄さんに渡し,三本締めをしてもらいました。
「それではみなさん景気良くゥ!!」
そして僕は頼雄さんと抱き合いました。
頼雄さんが顔をくしゃくしゃにして喜んでくれていたこと。
みんなで,胴上げしたこと。
どこまでも手作りの,そんな素敵な風景を,あの日たくさんの仲間たちと作り上げることが出来た事は本当に僕にとっての財産です。
ありがとう,雄勝,そしてたくさんの仲間たち。
1000年に一度の祭で,僕は雄勝へ,恩返しをしようと思います。