トークレポートをお届けします。
vol. 42 2014-12-11 0
ルポライターの鎌田慧さんがお越し下さいました。
「記録をつくってくれてありがたい。ずっと丹念にフォローされていて、本当に貴重な映像を残して下さっていると思う。再稼働へ向かっていくと同時に生活が疲弊していく人がちがいて、両方の時間の流れがあるわけで、非常に考えさせられる。本当にありがとうございます、第三部・四部もつくってほしい」と、感想を下さった鎌田さん。
「住民運動のシンボルともいえる三里塚闘争(成田闘争)は70年代であり、原発が誘致されはじめたのもちょうど70年代。柏崎刈羽や四国の伊方など色々なところで反対運動が行われていた。若者が運動の中心であり、社会党も一緒になって一生懸命にやっていた。四国の伊方は年配者しかいない町だったが、それでも”東の柏崎、西の伊方”と言われるほど活発だった。社会党もだんだん手を引いていき、やがて全学連が入ってきた。それほど激しいものではなかったが、大衆的なものではあった。地元はやはり金と権力のことがあるので、受け入れ態勢もあったことは事実。”嘘と金と暴力”と僕は言うが、それが原発をつくってきた。とにかく金をばら撒いて反対派を少なくしていくという、極めて暴力的なやり方。建設省が中心になってやってきた」とお話下さいました。
「規制基準とは原発を動かす為にある。止める方向で考えられては困る。原発が悪で自然エネルギーが善だというような言われ方も困るのだと、全原協会長は言っていたのだが、彼らにとってはあくまでも仕事や雇用に関わる大切なこと。明日の食い扶持がなくなる恐れが彼らにはあるので、話が噛み合わなくなってしまう」と、舩橋監督。
鎌田さんは「地域の中で金を持っているのは土建業。国からお金がおりてくるのは何かを建設するとき。そこに雇用が群がっているので、土建業が発展していく。沖縄も基地に依存するというよりも、基地を新しい町として発展させていく、そのように産業構造が変わってきている。土建に依存しない観光産業も発達しているが、それらに頼らなくても独立して発達できる産業が原発だった。原発一つにしがみついていれば何もしなくても生きていけるから(炭鉱もそうだった)地域の依存度も増したのだろう。原発は他産業と関連しなくても良いように膨大な金をつぎ込んできた。そこをどう解決してゆくか」とお話された。続けて「原発は自然に生まれたものではなく国策なのだから、国策を変えていくこと。原子力政策、原子力基本法で原発が成り立っている。ドイツは原発を廃止し、自然エネルギーに30万の雇用を生み出している。発送電を電力会社が握っており、地域を支配しているので、そこを自由化していこうというわけ、やはり政治を変えなければ解決しない」と話されました。
舩橋監督は「司法が政治に対してやれることは沢山あるのではないかと思う。誰も責任を問われていない。責任者を司法が追及していくことで政治にプレッシャーをかけていくとは必要だと思う」と意見を述べた。そして「水質汚濁防止法という、水質を汚濁した事業者を処罰する法律があるが、放射線に関しては今までなかった。3・11後に制定された放射性物質汚染対処特措法には、国民も対処する義務があると書かれていて気に入らない。放射線の出所は確実に特定されるのに、どこから出たかわからないので皆で綺麗にしましょうねという、話の摩り替えでしかない。その背景には東電を潰せないという判断があるのだろう」と話しました。
「海岸から離れている地域は自分の家が残っている。放射能がなければ家にかえれるのに、お年寄りは生活再建も難しく、仮設から出られぬままそこで亡くなっていく人も出てきている。本当に悲惨。雲仙岳や奥尻島や各地色々な被災地を取材して回ったが、仮設住宅というものは何年経っても改善されない。故郷はあってもなくてもいいが、何かいざとなったら帰れるのが故郷。それがないという苦しさですよ・・・」と鎌田さんはお話されました。
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日替わりで様々なゲストにお越しいただいたトークショーも明日で最後です!
・12月12日(金)13:00の回上映後
鎌仲ひとみさん(映画監督)×舩橋淳監督
是非お越しください、お待ちしております。
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それ以降も上映は続きます。
12/13(土)~19(金) 18:30
12/20(土)~28(日) 16:20
12/29(月)~1/1(木) 年末年始休業
1/2(金)~ 17:10
終映日未定