トークレポートをお届けします。
vol. 34 2014-11-23 0
こんばんは、宣伝の佐々木です。
本日は大変嬉しいことに満員御礼となりました。
通路と後方に立ち見が出る程のお客様にご来場いただいた本日、ゲストには小出裕章先生(京都大学原子炉実験所助教)をお迎え致しました。
第一部、スピンオフ作品『放射能』、第二部とご覧いただいている小出先生は「大変おもしろく怒りがふつふつと湧いてきて、何という国だろうと思うことがありました」と本作にご感想を下さいました。
「原子力発電所は絶対安全で事故なんか起きないと言われていたのに、それはウソで10万人の人が家を追われた。食べること、寝ることの積み重ねに生きた歴史があって、それが町。その町が根こそぎ破壊された。国はコミュニティごと、地域ごと移住させるべきではないか。非常にお金がかかります、しかし国が破綻してでもやるべき。そういうことをして日本がどのような国であるかを示すべきだと思いますね。それなのに捨てられ、分断されている。被害者を被害者のまま泣き寝入りさせて、自分たちは逃れようとしている。本当に何という国なのだろうと思いますね」と小出先生がお話しされると、涙を拭う方もいらっしゃいました。
舩橋監督は「あんな狭い仮設住宅に押し込められて人格権までが奪われている。政治がとにかく遠い、コミュニティが丸ごと補償されなければならないのに、それが金で叩かれようとしている。原発避難の補償金はダムに沈む村に支払われる不動産の補償(価値)の4割。何でか?それは、原発避難に関しては”いつか戻っていただく”という前提だからなのです」と話すと、会場からは唸り声と失笑が聞こえてきました。
「いま住民たちが苦労して一生懸命に汚染土を集めている。しかしそれは東電の所有物なのです、ならば返して東電に引き受けてもらうべきでしょう。当然のことです。原発内部には今も本当に最低限の労働者たちが、もの凄い被ばく環境の中で闘って働いているのに、そこへさらに中間貯蔵施設なんて許されないことだと私は思います。苦難のどん底に陥れて・・・皆さん何でそう言わないのかな、そう考えないのかなと思います」と小出先生。続けて「自営業の人が毒をばら撒いたとしましょう、すぐに警察がきて逮捕される国なはずだが、福島にこれだけ悲惨な事故を起こしておきながら誰一人処罰されていない。本当に不思議な国、都合良く福島を忘れさせようとしているのではないか。マスコミだって原発を推進してきたのだから同罪のはず、忘れさせているんでしょう。私は原子力ムラを、最近は原子力マフィアと呼んでいますが(笑)圧倒的に力が強い大きな組織です。舩橋さんがこうやって映画をつくってくれて有り難いが、本当に小さな力にしかすぎないくらいです」とお話しされました。
「国は原子力麻薬から自立できるような仕組みをつくるべき。ドイツは脱原発を推進している、原発をやめたら地域にどのような雇用が生まれるのかきちんと明示すべき。原発をやめても建物は残るわけで、それを片付けるというだけでも大きな雇用が生まれるはず。日本の電気は3割が原子力だから、やめたら停電だと脅かされてきましたが、水力も火力もあるわけで、そうではないと私は前から言っている。今すぐ再生可能エネルギーだけで廻すのは無理なので、当面は火力に頼るしかない。しかしこれも害はあるので変えていかないといけない。そもそも日本はエネルギーを使いすぎ。そんな生活しなくたって、もっとシンプルに生きられる」と小出先生はご説明されました。
(舩橋監督は敢えて悪役を演じました!)
舩「でもね、火力は高い。アベノミクスが崩壊しちゃいますよ?」
小「いーですねー!早く崩壊してほしいですね!」
会場を湧かせると小出先生は「火力の分少しお金がかかるくらい、そんな目先のことだけに囚われてはいけない。原発だって月々の電気代を値上げしないといけないようなら即刻辞めるべき。東電や他社が原子力をやめられないのは、やめてしまうと不の資産になってしまうから」とお話しされ、続けて「安全性を掲げて全て認可したのは自民党です。彼らは責任をとらずに生きていこうとするなら、推進するしかないのでしょう。しかし、いい加減に目を覚ますべきだと思うのです」とされました。
舩橋監督は海外の映画祭で、広島・長崎・福島とこれだけ核の傷を追っているのに何故!再稼働するのかと聞かれるのだというエピソードに加え、日本とアメリカが似ていると言われたとことについても説明。倫理が経済でひっくり返る、ドイツは倫理を基に社会がつくられている。日本に欠けているのは、その順序なのではないかと意見を述べました。さらに、関西で上映したときに客席から言われた”自業自得論”についても話しました。「今まで恩恵を受けてきたのだから自業自得でしょ、幸せの前借りでしょと言われた。福島にだってそれをわかっていた人はいた。しかし、原発で町が潤ったのはたかだか40年。たった40年の為に今まで継承されてきた歴史が途切れてしまった。目先のことしか考えていない。それをもう一度、地方の人に強いて良いのか。我々だって共犯者だった。もう遠く離れた人に押しつけるのはやめましょうよ、日本人はそれくらいできるでしょう!」と思いを語り、小出先生は「今日はただただ皆さんに感謝します。闘うということは福島を忘れないということです。どうか皆さん忘れないで」と呼び掛け、トークショーは終了しました。
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下記、今後の予定です。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
・11月26日(水)13:00の回上映後
舩橋淳監督によるティーチイン
・11月27日(木)18:30の回上映後
津田大介さん(ジャーナリスト)×舩橋淳監督
・11月30日(日)13:00の回上映後
細美武士さん(the HIATUS)×舩橋淳監督
・12月3日(水)13:00の回上映後
舩橋淳監督によるティーチイン
・12月4日(木)13:00の回上映後
飯田哲也さん(ISEP所長、エネルギー改革者)×舩橋淳監督
・12月6日(土)13:00の回上映後
おしどりマコ&ケンさん(吉本興業・漫才師)×舩橋淳監督
・12月7日(日)13:00の回上映後
柳澤史樹さん(Team LINKS代表)+坂本健さん(避難・支援ネットかながわ 代表)+小野田義孝さん(双葉町出身)×舩橋淳監督
・12月8日(月)10:30の回上映後
田原総一朗さん(評論家・ジャーナリスト)×舩橋淳監督
※この日のみ、2回目の上映は13:15からに変更となります。
2回目をご覧になられる方もトークにお入りいただけますので、12:30頃までにご来場下さい。
・12月9日(火)13:00の回上映後
金子勝さん(慶應義塾大学経済学部教授)×舩橋淳監督
・12月11日(木)13:00の回上映後
鎌田慧さん(ルポライター)×舩橋淳監督
・12月12日(金)13:00の回上映後
舩橋淳監督によるティーチイン