トークレポートをお届けします。
vol. 35 2014-11-28 0
昨晩はジャーナリストの津田大介さんがお越し下さいました。
「第一部を観たときも衝撃を受けた。一部も二部も同じトーンなのですが、抑制的であり、人々がいかに翻弄されているかということが多面的に捉えられている。震災後、福島関連のドキュメンタリーをたくさん観たが、ぞの中でも非常に完成度が高いと感じた。静かに淡々と、人々に諦めや絶望が広がっていく。第一部のときは辛うじて双葉町のコミュニティーは旧騎西高校で成立していたが、第二部ではそれが壊されていく様が静かに描かれていた。どうして住民同士で軋轢が生まれてしまうのか。それがどうにもやるせない」と、津田さんは本作についてお話しされました。
津田さん
Q.第一部でも少なからず、町民同士に軋轢が生じていたのでは?
それを描かなかったのはなぜ?
A.はっきりとあった。
しかし、それを描かなかった理由は”対象への責任”ということを考えたから。カメラクルーも少人数ということもあり、また多くの時間一緒にいると、カメラがあることを忘れて色々と話してくれる。撮られている側は、これがまさか国際映画祭で上映されるとは思っていない。許可は取ったのだからと開き直ることもできるが、もう少し考えた方が良い。この映画が原因で町民同士の間に分断を生んでしまうかもしれないと考えたので、作品としてはそこを抜いた。
第二部の時はその傾向がもっと大きく出ていた。「なぜ福島に帰るの?」「なぜ役場はまだ埼玉にあるの?」など様々だった。しかしこの現況は原発事故にあるのだということが見えてくる、もともと同じ街に住んでいたのにどうしてこうなってしまったのか、そこへ誘えるように作品をつくれば良いと思った。彼らの悪口が原因でこのようなことになっているのではない。そこをしっかり描くことができれば”対象への責任”が果たせると思った。
津田さん
Q.どうやって登場人物を選んだ?
A.まず世界中で観てほしいと思った。
「双葉だからこんな風になった」と双葉独自のことと思われたくなかったので、特徴のある人は外し、ごく普通の家族などを選んだ。
Q.第一部は事故から9ヶ月、第二部は3年間を追っているが、どのタイミングをもって作品を完成と考えたのか。何かきっかけになることがあってまとめたの?
A.強烈なシーンが2~3撮れてくると作品としてまとめられる。
第一部のときは、津波で母親を亡くした男性が父親と一緒に現場に行くというシーンがあった。そして忘れられないのが2012年12月16日に野田首相が原発事故収束宣言を出した。旧騎西高校の美術室で皆と一緒にニュースを見ていたので許せないと思った。世界中の人に観てもらわなければと思った。
第二部では梅田のばあちゃんの姿だった。皮肉なのは旦那さんが、双葉町に原発が来ることに反対していたということ。
「中間貯蔵施設の話はひどいと思う一方、しかしあそこにつくるしかないだろうと思ってしまうのも事実。分断が進む町で、そこに中間貯蔵施設ができてらこの町はどうなるのか。もうそこを処理するだけの場所になってくる」と津田さん。「川内原発再稼働のニュースもあったが、避難計画だけでなく、避難生活計画、中間貯蔵施設計画、賠償計画もつくるべき」と舩橋監督は意見を述べた。
津田大介さんの書いているポリタスはこちら
→http://politas.jp/
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【今後の予定】(ポレポレ東中野)
・11月30日(日)13:00の回上映後
細美武士さん(the HIATUS)×舩橋淳監督
・12月3日(水)13:00の回上映後
舩橋淳監督によるティーチイン
・12月4日(木)13:00の回上映後
飯田哲也さん(ISEP所長、エネルギー改革者)×舩橋淳監督
・12月6日(土)13:00の回上映後
おしどりマコ&ケンさん(吉本興業・漫才師)×舩橋淳監督
・12月7日(日)13:00の回上映後
柳澤史樹さん(Team LINKS代表)+坂本健さん(避難・支援ネットかながわ 代表)+小野田義孝さん(双葉町出身)×舩橋淳監督
・12月8日(月)10:30の回上映後
田原総一朗さん(評論家・ジャーナリスト)×舩橋淳監督
※この日のみ、2回目の上映は13:15からに変更となります。
2回目をご覧になられる方もトークにお入りいただけますので、12:30頃までにご来場下さい。
・12月9日(火)13:00の回上映後
金子勝さん(慶應義塾大学経済学部教授)×舩橋淳監督
・12月11日(木)13:00の回上映後
鎌田慧さん(ルポライター)×舩橋淳監督
・12月12日(金)13:00の回上映後
舩橋淳監督によるティーチイン