林業と窯業
vol. 6 2022-08-07 0
アップデートの6回目は林業と窯業の関係についてお話したいと思います。
国土の約70%は森林という自然に恵まれた日本。その中でも青森県は国有林も豊富で、林業は必要不可欠な産業です。
林業の主な仕事は、植林と伐採だけでなく、山全体を100年、200年単位で管理し、良い木を育て、豊かな山を未来につないでいくことです。 育て、収穫するという観点から見れば農業と似ていますが、収穫までに長い年月が必要です。 年間通して行われる作業の中に間伐作業があり、私たちの登り窯ではその間伐材の赤松を燃料の薪として使用します。
伐採から枝払いまで機械で行える現代においても、うねりながら成育する赤松は枝も固く、手作業を余儀なくされる手間のかかる木です。人の手での作業は機械の6倍ほどの時間と、20倍ほどの手間がかかるとも言われています。
このプロジェクトを開始するにあたり、アカマツの薪を提供いただいている地元青森県の前田林業さんへの取材が叶いました。 今までは購入したアカマツをただ燃料として使用していましたが、今回の取材を終えて、陶工自らが林業という職業の大変さや素晴らしさ、間伐材を使うことの意義を知ることができ、あらためてアカマツを活用できることのありがたさを感じております。
山から切り出された赤松の丸太が、登り窯に薪としてくべられるまでに多くの人の手が必要です。電気やガス、灯油など焼き物を作るための燃料が簡単に手に入る時代に、これだけの手間暇をかけてでも薪にこだわるのは、自然の力、自然釉が素晴らしいからに他なりません。
また、化石燃料とは違い、木材を燃焼して発生した二酸化炭素は、樹木の伐採後に森林が育つ過程で再び樹木に吸収されることになります。林業の適切な整備へもわずかながら寄与することができ、山を豊かにできるということからも、1000年先まで焼き物を残すための持続可能な作り方として薪窯を続けていきたいと強く望みます。
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