制作日記#6「使用画材と使い方」(鋤柄)
vol. 6 2023-10-21 0
絵本『ねこはねこのゆめをみる』はアクリル絵具をメインで使っている。これまで水彩絵具と色鉛筆で絵を描くことが多かった。滲みを活かした淡く儚い雰囲気の絵が多かったように思う。絵本『ねこはねこのゆめをみる』の文章を初めて読んだ時に頭に浮かんだイメージは、色が幾重にも重なり合い溶け合う中から図像が浮かび上がってくるようなものだった。
どうやって描こう?頭に浮かぶイメージは水彩や色鉛筆では描けそうにない。そこで初めての画材アクリル絵具に挑戦してみることにした。水を多めに使えば水彩のような表現もできるし、塗り重ねていくこともできる。ただ乾きが早く乾いてしまうと消すことができない。乾きを遅くするメディウムを使ってみたけど、あまりうまく使えない。悩んだ末にチューブの胡粉を使ってみることにした。胡粉とは日本画用の画材で、本来なら粉状の胡粉を乳鉢で膠と練り混ぜていくものなのだけど、手軽に使えるようなチューブタイプがある。水で溶いて使うのだが、濃いめに使うと盛り上げ材のようにも使える。
アクリル絵具で背景の色を塗った後に、胡粉で厚めにねこを描き、少し着色する。上から水多めのアクリル絵具で塗ると胡粉が溶ける。この溶かしながら描く感覚がしっくりきて各ページに多用している。ねこの土台ができたら、水彩や色鉛筆を使って着色する。気が付けば色んな画材がミックスされていた。
現在、京都府立植物園で開催中のグループ展「あしもとにゆらぐvol.5」に参加しています。総勢28名の作家さんが絶滅危惧植物を描いています。先日、搬入のお手伝いをさせていただいた時に、出展作家さんの原画を間近に見る機会がありました。アクリル絵具を使っている作品も多く、表現方法や使い方などたくさんの発見と刺激をいただきました。展示作品はオンラインでも公開されるのでご興味のある方はぜひ見てみてください!もちろん直接お越しいただけたら嬉しいです。ちょうど今の植物園は金木犀が満開です。
常花の苑企画展【あしもとにゆらぐ vol.5】
2023.10.21(土)~29(日) 会期中無休 10:00-16:00
京都府立植物園 植物園会館二階 多目的室