ああ!・・・。
vol. 65 2017-02-25 0
皆さま
本日は雑感みたいな文章です・・・。
(写真はボツったロケハン写真より)
ああ、お会いしたかった・・・。
鈴木清順監督の作品のほとんどは、今はなき大井武蔵野館で見せてもらった。
80年代の頃は深夜テレビでもやっていて、清順作品でもビデオになってないやつを放送してた。ぼンヤリ見てると、ハッとして居住まいを正してみることがあった。
油断してると、足元をすくわれる感覚がした。
「関東無宿」「花と怒涛」「けんかえれじい」等好きで、しかしやはり「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」も好きで、好きなのにDVD持っていないのが恥ずかしいのだった。
勿論現在制作中の「夢幻紳士」も己の才能ではとうていかなわないと思いながら、意識だけはよくしている・・・言うとこが恥ずかしい。
短編の原作を長編に仕上げた傑作はあまりないと思う。
短編の密度を持ったまま長編「ツィゴイネルワイゼン」は完成したと思う。多面体を見ている筈なのに、終わると私たちには一面しか見えていなかった心持になる。起承転結は原作の持ち味を生かしつつ、その間の行間の密度が凄まじい、薄めるわけでなく、行間を紐解くとあれよあれよと長編になった感じだけど、あんな脚本はかけないです。とても尊敬して恐ろしく感じます。(脚本は田中陽造)
「夢幻紳士」の脚本で四苦八苦していた時、(今は撮影で四苦八苦)古本屋で買った、キネマ旬報に「陽炎座」の脚本が掲載されていて、躓くと読んだ。何回も読んだ。今は引っ越しの際にどこかの箱に仕舞って、わからなくなり読めない。きっと完成したら出てくるんだろう。
意識はしても真似をするものでない!
デビット・ボウイがデビット・ボウイであるように、鈴木清順は鈴木清順であります。
以前、韓国のアシアナ短編映画祭に呼ばれた際、学生ボランティアの男の子が私に近寄り「僕は清順監督の映画が好きなんだ!」と英語で話しかけてくれた。英語は不得手だけど、勿論言いたいことはわかった。その子はノートパソコンを開き、清順作品の予告をYouTubeで流しはじめ、そして歌いだした。「~東京流れ者~」大好きなんだねえ、ここは映画祭会場だよお。
でも、嬉しいです。私もこんなふうに映画を丸ごと愛したいです。
そして国を越えて世代を超えて愛される映画を作りたいです。
清順監督には生前お会いすることはかなわなかったけど、きっとお会いしても俯いてなにも言えなかったと思う。
ご冥福をお祈りします。