岡山の土産についてアンケートを実施した結果から見えてきたもの。その2「イメージ」
vol. 3 2014-02-16 0
4)あなたが岡山のお土産を選ぶ上で、商品の知名度はどの程度重要ですか?
全く重要ではない ・・・40%
ある程度重要 ・・・23%
多少重要 ・・・23%
結構重要 ・・・11%
極めて重要 ・・・3%
商品の知名度が購入動機にどれほどの影響を与えているかの質問です。前章でも書いたように、お土産というものは実際に購入する人とそれを消費する人とが異なります。ですから、この場合は知名度が高いお土産を選ぶことで相手に喜ばれる可能性が高いという利便性を選ぶかどうかという観点で見て良いと思います。贈る相手にも安心ですし、贈る側すなわちお土産を選ぶ時にも便利であり安心なわけです。「知名度が高い=品質が担保されている」という意味合いがあり、贈った時に「がっかりさせない」のが、知名度の高いお土産の良さです。
「結構重要」と「極めて重要」で合わせて14%という数字があります。これはおそらく「有名だから」とか「定番で喜ばれる」という意味だけではなく、他に二つの意味があると推測します。ひとつは高級品としての共通の認識があるという意味。もうひとつはマスコミの露出で瞬間的に知名度が上がっていて話題として盛り上がれるという意味です。
高級品とはただ価格が高いだけでは価値が成立しないものです。高級であるという価値観が贈る方と贈られる方の双方で共有されていなければなりません。ですから商品の知名度で「高級」という共通の認識を持つこととで、贈る側は「価値の高い」ものとして贈り、受け取る側は「価値の高い」ものとして受け取ることが出来るようになります。たとえば、あまり有名でないお店の高価なお菓子はピンと来ませんが、「錦松梅」(きんしょうばい)と言われたら、その一言ですぐに「高級なふりかけ」や「高価な陶器の入れ物」というイメージが浮かぶと思います。「知名度」は梅干しやレモンを見たときに思わず唾液が出てくるような「反応」を起こさせるきっかけでもあります。これが「知名度」と「高級」の関係です。
一方、今この瞬間に話題性のあるものを選ぶ、という考え方もお土産を選ぶ時の基準として重要です。これはテレビでたびたび紹介され、全国的な知名度がありながらも販売店舗数が少ない、あるいは全国でその地方でしか手に入らないという場合、商品自体に「入手困難」というプレミアも上乗せされますし、また贈られた側も話題として盛り上がります。たまたま出張で出かけた先で、テレビで見たことのあるお菓子があって、それがここでしか買えないという情報を得た場合、スムーズに購入を決めることが出来ます。中身が何であるか、美味しいのかという情報よりも、いま話題の的であり、入手が困難だという情報の方が価値につながることもあります。また、選ぶ時に考えなくて良いというのは消費行動の中でかなり強力な理由付けになります。
次に回答の大多数を占める、商品の知名度をあまり重視しない場合の購入動機について考えていきます。お土産を選ぶとき、商品の知名度は「全く重要ではない」「ある程度重要」「多少重要」という意見が全体の86%でした。この数字はお土産という特殊な文化・性質をよく表していると思います。なぜならお土産とは一期一会の「出会い」だからです。
お土産は主に駅や空港、高速道路のSA(サービスエリア)で販売しています。それらの場所は旅行や出張、帰省や慶弔の行事などで移動する時に立ち寄る場所であって、日常でよく行く場所というわけではありません。多くの人にとって「もう二度と行かないかもしれない」場所である可能性が高いのです。そして駅や空港やSAでお土産を購入する場合、デパートにショッピングに行くのとはシチュエーションが異なります。多くの場合、「ちょっと見てみようか」とか「お土産を買わなきゃ」という動機で売場に足を向けます。あらかじめ購入する物が決まっている指名買いである場合の方が少ないのです。
お土産売場の商品の陳列というのは食料品店の陳列とは大きく異なります。コンビニやスーパーは足元からバストぐらいまでの高さの陳列棚に、商品の表面が正面に向くように立てて並べられている場合が多いと思います。これはより多くの種類の商品を効率よく見せるための陳列方法です。一種類の商品の在庫数は棚の奥行きのスペースに限られますが、販売数量の少ない“死に筋”の商品も並べることで品揃えの良さを演出するためです。少量多品種が求められる売場でよく見られる光景です。
一方お土産売場の商品陳列は本屋さんの平積みのように低い位置に商品の表面を上に向けて上下に重ねて陳列(縦列陳列)している場合が多いと思います。これは売れ筋のフェイス(列数)を増やして販売の機会を増やしたり、お盆や暮れや正月のような繁忙期に同じ商品を大量に陳列するのに向いています。この陳列方法は同じカテゴリーの商品を見て比べる時に有効な方法です。購入する側も、フェイスが広ければ定番かどうかを自然と見抜くことが出来ます。
お土産は出張や旅行で出かけた先で始めて入った売場で、見たことの無い商品の中から購入する物を選ばなければいけません。ですから昨今のお土産品のパッケージには文字情報が多くなっています。パッケージに書いてある文字情報やイラストや写真を見て、その土地特有のお土産であるかどうかを判断するわけです。お土産を買う場合、もう二度と立ち寄ることが無いかもしれない土地で、その土地にしかない商品との良い出会いを求めているわけです。知名度が高い商品を指名買いするよりも、その場で思わぬ出会いがあるかもしれないという期待感がお土産選びの醍醐味とも言えるのです。
5)「岡山のお土産」を思い浮かべた場合に、まず最初に思いつく商品カテゴリーをランキングしてください。
岡山のおみやげと言えば?ランキング
1位・・・銘菓(きびだんご、大手饅頭、むらすずめなど)
2位・・・果物(白桃、マスカットなどや、果実の加工品も含む)
3位・・・農畜産物・海産物(生鮮、冷凍、以外の加工品も含む)
4位・・・B級グルメ商品全般(蒜山おこわ、津山ホルモンうどんなど)
5位・・・一般食品・加工食品(缶詰、レトルト食品、茶葉、コーヒーなど)
6位・・・飲料(水、お茶、ジュース、地酒、地ビールなど)
これは「岡山のお土産と言えば何?」というイメージ調査です。銘菓(きびだんご、大手饅頭、むらすずめなど)と、果物(白桃、マスカットなどや、果実の加工品も含む)を一位に選んだ人だけで97%と圧倒的な結果になりました。二位についてもこの二つのカテゴリーだけで74%と圧倒的です。三位に選ばれたカテゴリーで多いのが、農畜産物・海産物(生鮮、冷凍、以外にも主たる素材としての加工品も含む)です。次いで三位に多く選ばれたのが、B級グルメ商品全般(蒜山おこわ、津山ホルモンうどんなど)で、四位に多く選ばれたのが、一般食品・加工食品(インスタント食品、缶詰、レトルト食品、瓶詰め、茶葉、コーヒー豆、麺類など)。もっとも選ばれなかったのは、飲料(水、お茶、ジュース、地酒、地ビールなど)です。
この結果を見ると、持ち帰る時にかさばらず、ひとつのパッケージでより多くの人に行き渡る商品が一番求められていて、次いで岡山特産として有名で品質の高い物、という動機で選ばれているような気がします。銘菓と果物は僅差でしたが、この差はほとんど無いに等しく、もし白桃やマスカットに販売期間が限られるというネガティヴな要因が無ければ、岡山のお土産の一位は圧倒的に果物だったのかも知れません。一次産業偏重という地方の特性が見られる結果だと思います。白桃やマスカットは知名度はそこそこ高いのですが、外に向けてのブランド化がなかなか出来ないという理由として、生鮮ものとして高級ブランドで流通させているので加工品に回らず、収穫時期以外に流通するブランド固定の役割をする商品が少ないというのが僕の推測です。農産物の高級ブランド化、聞こえは良いですが販売機会を逃しているだけなのかもしれません。
B級グルメがそれほど上位に選ばれなかったのは単にイメージに直結していないからでしょう。これは岡山のPR不足と言えるかも知れません。岡山には地ビールなどもありますが、それが選ばれていない原因は重くてかさばるからだと思います。通販等で展開してウイークポイントを解消すればお土産としての知名度も上がるかも知れませんね。加工食品、農畜海産物はブランド化されたものもほとんど無いのでこれといった印象が無く、瀬戸内海のイメージで商品が動いているという推測でほぼ合っていると思います。
この数字を見ていて思うのは、ブランド化はすべてにおいてまんべんなく手を回さなければならないということでしょうか。農畜海産物のブランド化があり、加工技術において差別化された加工品のブランド化があり、販路の開発があり、というふうに土からレジまで一貫したストーリーの元で最終製品を世に送り出さなければ、お土産で地域を印象づけるというのは難しいのかな、と思いました。
6)この種類の製品を購入する際、会社の知名度はどの程度重要ですか?
全く重要ではない ・・・63%
多少重要 ・・・19%
ある程度重要 ・・・9%
結構重要 ・・・8%
極めて重要 ・・・1%
この質問ではお土産や県産品に関る企業で全国的な知名度のある企業がどれだけあるか、という結果がでると考えています。結果としては岡山で県産品を製造加工している企業で全国区の知名度のある企業が少ないと読み取れます。企業の知名度とは、メディアに取り上げられるというのもありますが、先進的な技術をもっているとか、全国的に見ても特殊な商品を取り扱っているとか、全国の広域エリアの中でどれだけ差別化が出来ているかが大きく影響します。単に売上が大きいだけでは知名度は上がりません。
もしメディアの露出の多い企業の経営者が個性的なら、それがアイコンとなって地域の顔としてインデックスされるようになります。注目される企業には差別化された技術や製品、社内制度など、さまざまな要素が含まれているので、それらの要素と個性的な経営者のイメージが合わさることで地域の個性のひとつとなり、印象づけられていくわけです。この企業を育んだ風土とはどのようなものなのか、そういった興味を集め、好奇心をかき立てるようになれば、地域に対する注目度は高まります。
求めたい結果に対してダイレクトな質問ではなかったので、少し曲解しているかも分かりませんが、もし岡山に超有名なお土産メーカー、単一商品ブランドがあれば、それだけで岡山のイメージアップにつながるのだと言うのは、他の地域、特に僕が「北海道モデル」と呼んでいる振興スタイルでは企業の知名度は必須だからです。
「ももたん」とはおそらく数十年ぶりに岡山に新しく誕生したお土産ブランドです。僕は「ももたん」を少しでも多くの人に知ってもらい、それによって岡山の地域ブランドに少しでも貢献できたらと考えています。そして、地域を売ると言うお土産のもつビジネスのスタイルを、日本をより良く知ってもらうというコンテンツビジネスにつなげていきたいと思っています。岡山の「お土産」が日本の「おみやげ」に、そして世界の「OMIYAGE」に。もし賛同していただけるならプロジェクの概要をご覧ください。
https://motion-gallery.net/projects/momotan
ここまで読んでいただいてありがとうございます。僕の「おみやげ」に対する思い、「ももたん」に込めた思いを少しでも感じていただけたら幸いです。もし共感していただけたら、このクラウドファンディングに応援してやって下さい。金銭で応援ができないという方も、ぜひこのアップデート記事をSNSでシェアや拡散して下さい。どうかよろしくお願いいたします。
ナショナルデパート株式会社
代表取締役 秀島康右(ひでしまこうすけ)