認知症の母の直腸脱
vol. 49 2017-11-30 0
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、宏子さんは「直腸脱」という病気を患っています。
これは長年の便秘によるもので、便秘になった理由に「戦争」が関係していることは、以前にこちらのアップデートでも書きました。
その直腸脱が最近絶不調…。先日の訪問看護師さんからの連絡帳にはこんな記述が↓
「トイレ後直腸脱ソフトボール大。座っても整復せず洗いなおし」
直腸が裏返りソフトボールくらいの大きさで肛門の外に出てしまっていて、なかなか元(肛門内)に戻らない…想像するだけで痛そうですが、宏子さんにとっては「痛み」より「不快感」の方が強いようです。
ここまで直腸脱が悪化した原因は宏子さんのパニックにあります…。
宏子さんは不安が頂点に達すると「頻繁なトイレ通い」が始まるのですが、関口監督によると、このところの宏子さんは「これまで以上に対人関係に繊細になっている」そうで、懇意なベテラン訪問看護師さんであれば問題ないのですが、他の人が担当すると入浴後にパニックが出るようになりました。これまでデイのある水曜・土曜の週2日だったパニックが、訪看さんの入浴のある月曜・金曜にも起こるようになり、症状を回復させる時間がなくなってしまったのです。
「直腸脱の調子が悪いから、母自身も調子が悪いと考えがち。でも、その直腸脱の調子の悪さを作っているのは、我々ケアをする側の対応にある」と関口監督。宏子さんの直腸脱のことを知った当時、手術も検討ましたが、肛門科の先生から「全身麻酔」を理由に手術を断られた経緯があります。「全身麻酔による脳への影響がどう出るかわからない」と…。
手術が出来ない今、直腸脱のためできることは、少しでも宏子さんの不安を取り除くこと。
まずは「母の心を乱さないよう、自分が笑顔でいること」を心がけているという関口監督。「私の笑顔が母の笑顔」「“ケアをされる人” と “ケアをする人” は鏡のような関係」、だからこそ “ケアをする人” にまず大切なのは「自分のケア」だと話されていました。