在宅介護8年目の関口監督が元気な理由(「認知症のケアと看とり」第2回イベント)
vol. 22 2017-05-07 0
4/23(日)に「認知症のケアと看とり」の第2回イベントを開催しました。この日のゲストは俳優で介護福祉士の菅原直樹さんでした。岡山を拠点に、全国各地で様々な演劇ワークショップを開催し、いま「大注目の人」でもある菅原さん。イベント当日はNHKが密着取材を行っていました!イベントには菅原さんが主宰する劇団<「老いと演劇」OiBokkeShi>の主要俳優である「おかじい」こと岡田忠雄さんもご来場くださり、関口監督と熱い抱擁を交わしていました。
前回同様、お二人のトークはイベント参加者だけのお楽しみ!ということで、ここでは会場から寄せられた質問についてまとめてみたいと思います。岡山では次のような質問が出ました。
①家族介護を本当に楽しむことができるのか?辛いことの方が多いのでは?
②落ち込んだ時はどうするのか?対応策は?
③どうしたら介護へのモチベーションを保っていられるのか?
④なぜそんなに若々しく、元気でいられるのか?
質問の形は違いますが、「関口監督の介護に取り組む姿勢やその意識」への関心が共通しているように感じました。
在宅介護8年目でなぜ元気でいられるのか?
その理由の1つは「オンとオフの切り替え」。意識的に「1日中、介護のことを考えたり、したりしない」「介護とは切り離した時間を作り、その間は介護のことを忘れる」ように関口監督はしています。落ち込んだ時(落ち込むこともあるんです!)には「大好きな音楽を聴き、大好きな妄想する」。「月に一度、地元のカルチャーセンターのボイストレーニングに通い、声を出す」など自分の好きなことをすると「幸福感に満たされ、オキシトシン(幸せホルモン)がジャブジャブ分泌され、若さと元気を保つことができる」と語りました。
理由の2つ目は「心の持ちよう」。関口監督が認知症の母に向き合う時の心持ちは「探偵になる」です。これは『毎アル2』にご出演くださったヒューゴ先生の言葉ですが、「探偵は常に事件や相手にクールでないと謎解きが出来ない。探偵になれば、母の感情の爆発や失禁さえも冷静に観察して、解決策を考えられる」と関口監督。そしてなにより、「探偵の心持ちだと認知症ケアが楽しい」そうです。
関口監督は、認知症になった母を見ていて「中年期以降の幸福は、自分がやってきたことだけでなく、やってこなかったことも大きく反映する」「自分の幸福も不幸も、すべての原因は我にあり」と強く思うようになりました。『毎アル2』で「多幸症」状態にあるように見えた宏子さんでしたが、さらに認知症の進んだ現在では、もともとのマイナス思考が顔を出し、眉間にシワが寄っていることが多いようです…。「私から見た母はずっとマイナス思考だったので、やっと素の自分を堂々と見せていると感じる部分もあるが、まさか、認知症後期になってこんな不幸せになるなんて」と驚きも感じているという関口監督。
「認知症は一人ひとり違い、予測不可能なので、症状が進めば幸せになれるとは限らず、そこが難しい。自分の世界観が強くなるので、認知症以前の人生の捉え方が大きく影響する」「認知症になった時に多幸症になるには、認知症になる以前から、そのための選択をして生きていなければいけない」「だからこそ私は人生を夢中に生きる」「そこに気づけなかった母のこれまでの人生を思う一方で、認知症になり“忘れる”という機能を手に入れたことは母にとって最大の福音だと思う」とお話しされました。
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