認知症の母と介護福祉士の関係(「認知症のケアと看とり」第1回イベントより)
vol. 20 2017-04-26 0
随分と時間が空いてしまいましたが、4/6(木)に「認知症のケアと看とり」の第1回イベントを開催しました。この日のゲストは介護福祉士の飯塚裕久さんでした。小規模多機能型居宅介護ユアハウス弥生の所長で、ご自身も介護福祉士として現場に立たれながら、事業所の枠組みを超えた介護職員の課題解決能力の向上や、後進の育成に精力的に取り組まれている飯塚さんがゲストということもあり、介護福祉士の方が多くご来場くださいました。
お二人のトークはとってもスリリングだったのですが、それはイベント参加者だけのお楽しみ!ということで、ここでは関口監督が語った認知症の母と介護福祉士の関係についてまとめてみたいと思います。
関口監督の母・宏子さんはデイサービスから帰ってくると決まってトイレパニックを起こしていました。時間をおかずトイレに頻繁に通い、ひどい時はそれが一晩中続き、明け方に疲れ果ててやっとぐっすり眠るので、昼夜逆転にもつながる…。そのパニックの理由は「デイサービスでのトイレ介助にある」と関口監督はいいます。
直腸脱のある宏子さんのことを心配して、デイサービスのスタッフがトイレの個室に一緒に入り、身体的介護をしてくれるのですが、これがパニックのもと…。プライドが高い宏子さんは「できない」「かわいそう」と思われたくないという気持ちが人一倍強く、時によっては自分が「認知症である」ことも忘れています。私たちの普段の生活に置き換えて考えてみると、その驚きも想像できるでしょうか。「やめて」「出て行って」と言えればいいのですが、宏子さんの性格ではそれもできず…。
トイレ介助をされたという記憶は忘れても、その時の不安な気持ちは残るので、自宅での宏子さんは「誰か来る前に、自分でトイレをすませなきゃ!」とトイレパニックが起こるのではないか、と関口監督は推理し、スタッフに「トイレ内介助をやめて欲しい」と伝えました。いまでもトイレパニックはあるものの、その頻度は落ち着いてきたそうです。
「身体的介護をされたい人もいるでしょう、でも母にとってはNG」「認知症は十人十色。一般論では語れないところに、認知症ケアの難しさがある」「大切なのは“関係性の築き方”で、介護する側にとっての<いい関係>ではなく、本人のニーズを分析できるスキルが必要」「もちろん介護福祉士のみなさんにもパーソナリテイがある。でも認知症ケアの時には<認知症の人>が中心」
という関口監督の語りを聞きながら、「毎アル2」で訪れていたイギリスの認知症ケア・アカデミーの話を思い出しました。シンガポール系の医師を雇用したところ、回診の度に、認知症の患者さんにパニック症状がでるように。かつて日本軍の捕虜になった経験のある認知症の人には、シンガポール系の医師が日本人に見えている、との理由を突き止め、最終的には医師が施設を辞めたそうです。
「認知症の人を中心に考えるパーソン・センタード・ケアでは、時に医師や看護師といったプロが辞めざるを得ないこともある」
ちなみに関口家のヘルパーさんは、現在9人目。
これも宏子さんのことを中心に考えた結果なんですね。
※久しぶりにお出かけをした宏子さん。お気に入りの喫茶店でコーヒーを飲みました。
(4/6のイベントがあまりにスリリングで写真を撮り忘れてしまいました…。)
イベント開催!「認知症のケアと看とり」の詳細はこちら↓
http://maiaru.com/2017/03/07/talk_event/
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