【ルンタWEB通信012】政治の混迷で広がる格差
vol. 14 2018-05-25 0
ルンタプロジェクト代表:中原一博
被災1ヶ月後のカトマンズの王宮広場(上)と現在の様子(下)。女の子はテントで避難生活を送っていた。
3年の月日が経ち、壊れた屋根に草が生え放題である。ネパールの顔のようなこの王宮広場を、放置しておいても恥とは思わないのがネパール政府である。諸外国から何千億という復興支援金をもらっておきながら被災者には3年経ってやっとぼちぼちとスズメの涙ほどの金を与え始めた。
手続きを面倒にすればするほど、賄賂で役人の懐は潤い、高利貸しにより銀行をはじめ富裕層は笑いが止まらないほどに大儲けである。一方で被災者たちは身売りをしなければならないほどに追い詰められている。
トタンだけの家に被災後の3年間を暮らし、政府に追い立てられて、今になって急に鉄筋の家を建てさせられている人たちは、膨大な借金を強いられている。ルンタナーサリーの隣人のカビタさんが抱える借金の利子は、なんと23%である。
追い詰められた被災者たちは、次第に彼らの心を蝕む。街では泥棒が増え、アルコールやギャンブル依存が蔓延し、争いは増え、かつては稀だった村での殺人事件も増えているという。
若い者たちには稼ぐために外国に行くべきだというプレッシャーがかかる。自分から家族のためにそうしなければと思う者も多い。そんな時インドや中東にいい仕事があるという誘いを受ければ、すぐに飛びつくのだ。家族も勧めるであろう。そしてその行き着いた先が、逃げることのできない娼婦街だったという若い女性が、年間1万人もいるというのがネパール社会の現状であり、それを放置してるのが政府である。
こんな失格国家に対して、なぜ暴動が起きないのか、変革を求めないのかと不思議に思うこともある。ネパール人は我慢強いのか、諦めやすいのか? お人好しなのか?
震災時も、コンクリート造りの金持ちの家は壊れず、貧乏人や田舎の家が壊れたのだ。役人や金持ちはこれをチャンスと、さらなる金儲けの仕組みを考えて潤う。反対に従わされる田舎の被災者は、さらなる貧困への追いやられ、格差は広がるばかりである。これが現在の共産党政権下のネパールである。
政治や社会の改善を待つよりも、支援を必要とする人たちとの最善のコミニティーを作る他にないと思う。
クラウドファンディングのリターン商品である、木版画家で絵本作家の山福朱実さんのオリジナル版画が完成しました!ルンタと馬をモチーフにした完全オリジナルの版画で、額装したサイズは幅53cmの大作です。ルンタナーサリーのために、ボランティアで協力したくださり、朱実さん本当にありがとうございます。
イソップ絵本や故・石牟礼道子さんとの共著など、数多くの版画絵本を手がけてきた山福朱実さんのオリジナル版画が手に入る、ものすご~い、本当に貴重で稀なチャンスですよ。次回のオリジナル版画の発送は、7月上旬を予定しています。