【ルンタWEB通信013】チベットの「タルチョ」と「ルンタ」
vol. 15 2018-06-01 0
ルンタプロジェクト代表:中原一博
「タルチョ」とはチベット仏教・文化圏に見られる五色の祈りの旗である。中央に仏神に祈りを届けるとされる「ルンタ(風の馬)」が描かれることが多いことから、「タルチョ」自体を「ルンタ」と呼ぶ地域も多い。「ルンタ」は「幸運」という意味の一般名詞としても使われる。
「タルチョ」は、風の強い峠や谷間、仏教に関係する寺院や仏塔、日々の生活の場である庭や民家の屋上などに張り渡されている。周辺を浄化し、時に境界を作ることにより聖域化し、外からの悪を近づけない効果が期待されている。実際の効果は、これらが心の内で煩悩に対して行われることにより現れるわけだが、これが風にはためくことで、「ルンタ」と呼ばれる神馬が空に飛び、空の高みに住むと伝えられる仏神のもとへ人々の願いを届けてくれるという。特に「風」の役割が大事で、この馬は風がないと飛ばない。風が強ければ強いほどに、願いを広く遠くにまで届けてくれるそうだ。強い風にたくさんのルンタがはためく時、馬が疾走する足音にも聞こえる。時が過ぎ、風雨にさらされて自然にルンタが色褪せるが、その頃に願いが叶えられるとも言われる。
「タルチョ」は青、白、赤、緑、黄の5色で配列される。この5色は元来密教の五如来に通じる多層シンボリズムのうちの1つの表象であるが、日本の仏教でいう「五大元素(地・水・火・風・空)」である。青=空、、、黄=地の順に対応していると説明されている。
ルンタ・プロジェクトでは、団体名の由来でもある「ルンタのタルチョ」をオリジナルで作っている。2年前に、チベットから逃げて来た版木彫り師に、オリジナルの版木を彫ってもらった。馬の周りに描いたお経の内容も私が決めた。
前回はインドのダラムサラの元政治犯たちに刷ってもらったが、今回はカトマンドゥのスワヤンブナート近くのタマン人の専門家に依頼した。大中小の3つの版木を使い、全てを手作業の手擦りで作った。生地も化繊でなく綿布、紐もビニールでなく綿紐である。室内やテントなどに飾ることのできる小サイズ(長さ2m)から、庭や屋上、ベランダ、お寺などに飾るのに適した大サイズ(長さ5m)まで3サイズ用意している。
ほかにもネットショップで在庫切れが続いていた草木染めイラクサマフラーと草木染めパシュミナストールも販売できるようになった。「ルンタ・ナーサリー(仮)」の女性たちと一緒に作ったものだ。ルンタの商品の利益は100% 支援に使われる。女性たちが自立を目指して作る手工芸品、よろしくお願いします。
ルンタWEBショップのタルチョ https://www.lung-ta.com/blank-4
クラウドのリターン商品としてボランティアで参加していただいた、画家でテラコッタ作家の南椌椌さんの作品「椌椌風おとぼけ観音」が釜から出てきました。なんと高さ30cmほどもある大きさで、ひとりひとりの表情が素晴らしい。お部屋の片隅に、あるいはお庭のどこかに飾れば、野仏のように見守ってくれるはず。みなさんとってもいいお顔です。