【ルンタWEB通信010】天然の草木染め 〜自立への道筋
vol. 12 2018-05-10 0
ルンタプロジェクト代表: 中原一博
リングパシュミナストール:右から紫根染、キハダ、ヒマラヤルバーブ染、インド茜染
今週は久しぶりに草木染めで格闘した。「ネットショップで品切れとなっている草木染めのイラクサ手編みマフラーとリングパシュミナストールをできるだけ早く作ってください」と東京から命令が来たからだ。草木染め商品は、自立支援の柱と位置づけている。HIV/AIDSのシャクティミランサマージュのメンバーたちと一緒に染色作業を行った。
イラクサ手編みマフラー:インド茜染、藍染、生成り
イラクサはすでに指導員の灯子さんが施設で、染めて下さっていた。灯子さんは現在ビザ調整もありインドに旅行中ということで、今回はほぼ私一人でパシュミナを染めることとなった。素材が高価で超繊細なので、なかなか慣れない人に任されない部分が多いからだった。
写真左から天然染め材のインド茜、キハダ、紫根
パシュミナについては染め材・色はインド茜の茜色、キハダの黄色、ヒマラヤルバーブの山吹色、紫根の紫色。それぞれ複数枚だ。まずはパシュミナを手織りしているファクトリーに行きパシュミナの織りでも繊細であるがゆえにもっとも難しいと言われるリングパシュミナ(リング=指輪に通すことができるほどに薄いということからくる呼び名)の織りを注文する。一週間で織りあがった。
インド茜を煮出す
染め材は、わずか1枚50gにも満たないリングパシュミナのために、1枚あたり平均1kg以上の天然染め材を使う。実に贅沢な染めである。しかし原因が特定できないムラが出たり、満足する色にならなかったりと、二度、三度と染めを重ねることとなった。
紫根から色素を揉み出す
特に紫根は染め材自体が高価で手に入りにくい。そのうえ染めも手間がかかる。色を根から揉み出さないといけない。紫根は傷薬として有名であり、美肌効果があるとされている。だがこの作業で相当に手が荒れ、皮膚が斑らに染まる。初回は媒染後の色が薄く、ムラも出た。二度目でムラが消えたが色が気に入らないので、他の店から買った紫根で再度トライ。最後にやっと満足のいく色あいに仕上がった。納得のいくまで染めた紫根染は力作だ。これから工場でリドレッシングしてもらい、日本に発送するので、近いうちに販売できる。
紫根を揉みだして斑らに染った手
パシュミナもヤクやアヒンサーシルクのように糸を紡ぐところから始め、製品にするまでの全ての工程を、今年中にはルンタナーサリーで製造きるようになり、ルンタWEBショップで販売したいと思っている。それがシェルターに身を寄せる女性たちの自立への近道だからだ。