世界で最も男女平等な国アイスランドが歩んできた道のり
vol. 22 2019-10-27 0
「お飾りでない、女性起用を」 男女平等世界一の国から
【朝日新聞10.26.2019より】
ブリュンヒルドゥル・ヘイダル・オグ・オゥマルスドッティルさん(アイスランド女性権利協会事務局長)
――昔から男女格差のない国だったのですか。
「いいえ、つい40年前までは非常に男性優位的な社会でした。女性は20世紀初頭に参政権を得ましたが、いま41歳の私が生まれた時、女性の国会議員は3人と、定数のわずか5%でした。1990年代にようやく3割を超えましたが、しばらくはそのままでした」
「大きな転換点は、2009年です。世界金融危機の余波で銀行が全てつぶれ、政府への信用も地に落ちました。当時銀行のトップは全て男性。政府にも女性は少なく、『意思決定の場にもっと女性を』といううねりが起きました。この年、女性議員が初めて4割を超え、初の首相も誕生しました。今も女性議員は4割近くを占め、首相は43歳の女性です」
――政治の場に女性が増え、何が変わったのでしょうか。
「女性が政治の対話に参加することによって、男性に有利に働いてきた法律や制度が、全ての人がメリットを受けられるように見直されました。たとえば、男女がともに意思決定に参加できるよう、従業員50人以上の企業の役員は、男女とも40%以上とすることが義務づけられました。こうしたジェンダークオータは、政府の評議会などにも適用されています。政党への義務づけはありませんが、現在議席をもつ8党のうち4党は、自主的にクオータを設けています」
「また従業員25人以上の企業には、男女で同じ賃金基準を設けることが義務化されました。そのほかジェンダーに配慮した政府予算の義務化や、同性婚の合法化、ストリップ・クラブの禁止など次々に新しい法律が生まれ、法的には完全なるジェンダー平等が保障されています」
「男女同一賃金を順守している企業や、その企業の製品につける認証マークもあります。こうした動きに対応するため、ジェンダーについて専門知識のある人を企業が積極的に採用する動きも出ています。政府予算の個々の費目が、男女両方に配慮されたものになるよう求める法律も、できました」
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