応援メッセージが届きました!
vol. 6 2018-12-07 0
ルネサンス音楽のオーソリティー、金澤正剛先生より「オルフェオ物語」上演に寄せて応援メッセージが届きました!
科学、文芸、芸術と、あらゆる分野に才能を発揮したレオナルド・ダ・ヴィンチ。では彼自身は自分の才能をどう評価していたのか?
故郷フィレンツェからミラノの宮廷に就職しようとして、スフォルツァ公に書いた手紙にはまず、自分がいかに有能な音楽家であるかということが述べられている。じじつ彼はヴィオラ・ダ・ブラッチョの名手として知られていたが、それは同時に即興演奏の名手ということでもあり、それを彼は楽譜に残すというようなことはしなかった。したがって彼の音楽がどのようなものであったかは推測するほかはないが、それにはいくつかの手掛かりがある。
たとえば当時のフィレンツェやミラノでは、どのような音楽が演奏されていたのか?
またミラノと親密な関係にあったフェッラーラやマントヴァの音楽環境はどうであったか?
特に1480年代に、フィレンツェの詩人アンジェロ・ポリツィアーノの台本にもとづきマントヴァで上演された音楽劇《オルフェオ物語》に、彼がかかわった可能性はないのか?
彼が残した舞台衣装のスケッチなどは、じつはそのときのものではないか?
確定的な証拠はないものの、さまざまな可能性を探りながら、彼の音楽の実態が少しでも明らかになることを期待する。
金澤正剛
1934年、東京生まれ。ハーヴァード大学大学院博士課程修了(音楽学)。国際基督教大学名誉教授。専門はルネサンス音楽史。著書に『古楽のすすめ』(日本ミュージック・ペン・クラブ大賞)、『中世音楽の精神史』、『キリスト教音楽の歴史』『キリスト教と音楽』、訳書に『音楽家レオナルド・ダ・ヴィンチ』などがある。