〈小松 綾〉
vol. 3 2014-10-20 0
小松綾
タイトル:水鏡/mirror of water
素材:透明アクリル板、アクリルミラー
小学校の夏休みのほんの一時、従姉と祖母の家の近所にあった銭湯に通うのが流行ったことがありました。非日常のワクワク感と、他人に裸を見られるドキドキ感が多数の鏡によって増したのを憶えています。湯気の立ちこめる中、湯船に浸かりながら様々な種類の裸を観察していました。
銭湯内に設置された作品は、アクリル板を使用し、表面に凹凸を施しています。凹凸は雫が水面に落ち跳ねて静止しているように見えます。それらは光を複雑に反射した水面を連想させ、お湯に浸かった後の身体を歪めて映し出します。また、脱衣所と浴室の両側からも、間仕切りに設置した作品を通して不思議に変貌した銭湯の室内空間を見ることができます。作品を観ている入浴客は、映った客自身の裸の姿を作品の中に見ることで作品の一部になり、他の入浴客からも鑑賞されているという「見る-見られる」の関係性が作品のテーマです。銭湯に訪れた方々が作品の一部になる作品を、鑑賞し楽しんで頂きたいと思います。