『シロナガスクジラに捧げるバレエ』クラウドファンディング イベントレポート
vol. 4 2015-05-25 0
現在、渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中の映画『抱擁』(2015年東京国際映画祭正式出品)の坂口香津美監督が、6作目となる新作の劇映画『シロナガスクジラに捧げるバレエ』(9月下旬渋谷のユーロスペースにて公開)の全国公開をめざしてMotion Gallery(モーションギャラリー)にてクラウドファンディングに挑戦中です。
https://motion-gallery.net/projects/kujirafilm
5/16(土)、5/17(日)の2日間、代官山のカフェ「山羊に、聞く?」http://yagiii.com/wp/にて、MotionGalleryでクラウドファンディング中のプロジェクトの上映・トークショーを行う情報発信イベントMotion Gallery&「山羊に、聞く?」presents ~The Motion Galleryーが行われ、17日、坂口監督の3作目である劇映画『ネムリユスリカ』(2010年ロッテルダム国際映画祭正式出品)の上映後、坂口香津美監督が登壇しました。
「私はテレビのドキュメンタリー番組を制作して得た自己資金で、1999年から劇映画4本、ドキュメンタリー映画2本、合計6本の自主映画を製作監督しました。5作目の『抱擁』から宣伝費用の一部捻出と全国への拡大公開をめざして、モーションギャラリーにてクラウドファンディングに挑戦し、成果を得ることができました。コレクターとして参加して下さった方々にこの場をお借りして感謝申し上げます」
坂口監督にとってクラウドファンディングに挑戦することは、「映画を製作し、公開することと同様に重要」とのこと。
「クラウドファンディングで重要なことは、結果ではなく、まさに挑戦するというその姿勢そのものなのです。クラウドファンディングの舞台で自身を語り、自作をアピールすることで、何より自身を、自作を客観視することができますし、それ以上に、有形無形で得られるものが大きい。コレクターの方々との出会いは最たるもので、私という人間に、私が生み出す作品に『かけがえのない大切な根』となって栄養分を注いでくれ、根幹から支えてくれる。その根の存在がどれほど作家の糧となり、勇気を与えてくれるか。そのさらなる出会いを求めて今回もクラウドファンディングに挑戦しました」
今回クラウドファンディングに挑戦した、『シロナガスクジラに捧げるバレエ』は、東日本大震災の直後、テレビのカメラに映し出された当時14歳の少女の声と姿に強い衝撃を受けて製作された作品。
「津波の襲来時、つないでいた母の手を離してしまったと告白した少女は、『しっかり前を向いて生きて生きます。母の分まで』と毅然と、気丈にカメラを見据えてとうとうと話していました。その声を、表情を見て、いつかこの少女のために映画を作りたいと思ったのです」と坂口監督。
大震災後の世界を生き抜く幼い姉妹の再生を描く『シロナガスクジラに捧げるバレエ』は、一部を除いて、台詞のないサイレント映画。台詞の代わりに音楽が重要な要素となっている音楽映画でもあります。その音楽を担当したのは、映画『おくりびと』でもチェロ演奏を担当したチェリストの海野幹雄さんと、今メディアでも人気の作曲家・ピアニストの新垣隆さん。ゴーストライター騒動で注目を浴びた新垣隆さんと坂口香津美監督の運命ともいえる出会いは2013年2月、週刊文春にてスクープ記事が発売される半年前のことでした。美しく胸に響く音楽にも注目していただきたい作品です。
(写真は、先日行われた、映画「抱擁」上映劇場でのトークイベントでの、坂口香津美監督、新垣隆さん)
坂口香津美監督が、愛する家族を亡くした悲しみから精神混乱に陥った高齢女性(監督の実母)が、再び生きる希望を見つけるまでの4年間の道程を追い、昨年の東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門でも大きな話題と感動を呼んだドキュメンタリー映画『抱擁』は、現在、東京のシアター・イメージフォーラムにて公開中。(以降、大阪、鹿児島、名古屋ほか全国順次公開)こちらもぜひご注目下さい。http://www.houyomovie.com/