ワークショップの栞合本「読むことと書くこと」について
vol. 6 2021-09-29 0
こんにちは、ほしおさなえです!
たくさんのご支援をありがとうございます。
期間終了間際になりましたが、リターンのひとつであるワークショップの栞合本「読むことと書くこと」についてご説明します。
ワークショップの栞は、ワークショップ参加者限定で配布していたものなので、そもそも「栞」とはなんぞや?という方も多いと思いますので、少し長くなりますが、まずは、1年2ヶ月続けてきたワークショップの企画のことからお話ししましょう。
星々の活動を始めるとき(経緯は代表の江口がプロジェクトの説明で書いた通りです)、もろもろ考えた末、読書会&創作合評会のワークショップを行う、と決めたものの、オンラインのイベントは未知の領域(当時は多くの人がそうでしたよね!)。
どのような方法で行うのか、どのように進めていくのか、などなど、なにもかもわからないところからのスタートでした。
ツールは、映像はなくていい、という判断もあって費用負担のないdiscordに決定。
チケットの販売方法や、参加者の作品提出と共有の方法なども手探りで決めていきましたが、いちばん悩んだのは、会の進め方でした。
講演であれば一方的にお話しして、最後に質疑応答を取るという流れで良いのですが、わたしたちが考えていたのは、参加者みなが発言し、相互に意見を聞く会です。
参加者同士はそこではじめて出会うわけですし、リアルイベントでもなかなか発言しにくい状況。
よく喋る人とあまり喋らない人で差が出てしまい、参加したけどなにも喋れなかった、、、という人が出てしまうのは望ましくない……。
などなどもろもろ悩んだ結果、
・運営メンバーのなかで交代でナビを立てる。
・はじめに課題図書を決め、全員同じ本を読んでくる。
・宿題を課し、最初に全員に宿題の発表をしてもらう。
という進め方にしました。
宿題として考えたのが、
・本の中で気になった部分を3箇所抜き書きし、どうして気になったか理由をまとめる。
というもの。
ワークショップ当日、参加者全員3分ずつ発表の時間を設け、話していただく形としました。
ワークショップで使用したdiscordの抜き書き提出画面です。
文章を抜き書きする、というのには理由があります。
小説を書きたい人のためのワークショップということで、まずは文の細部を意識しながら本を読むという体験をしてもらいたかったのです。
実はわたしは10年以上大学で小説創作の授業を持ち、ゼミで卒論(小説)の指導もしています。
星々のワークショップは大学の指導のなかで考えてきたことを取り入れつつ、大人に向けた内容にしたいと考えました。
抜き書きは大学のゼミでも行っていて、効果を上げるためにいくつか大切なポイントがあります。
ワークショップでも、最初にこのポイントをしっかり説明する必要がありました。
宿題のための説明ですから、ワークショップ当日に行うのでは間に合わない。
それで、申し込んでいただいた方たちに、宿題の意味の説明とともに、毎回の課題図書への簡単な導入と、どこに気をつけて読んでもらいたいか、ということをまとめたテキストをお送りすることにしました。
このテキストが「ワークショップの栞」なのです。
1回目のワークショップの栞を書いたとき、これはけっこう大変なことになったな……と正直後悔しました。
くりかえし参加する人のことも考え、課題図書は各回変え、各回別の観点から考えよう、と計画していました。
つまり、回ごとに新しく、その回の課題図書と今回留意してもらいたい点について書かなければならないわけです。
というわけで、結局毎回5,000字程度の栞を書く羽目になりました。
ワークショップの模様はnoteで開催レポートをお読みいただけます。
その6回分の栞をまとめたのが、ワークショップの栞合本「読むことと書くこと」です。
わたしとしては、栞はそれだけ読んでも意味がない、参加者が自分で宿題をして、ワークショップに参加することでなにかをつかむためのものだったので、合本を作ってリターンにしようという話が出たときにはちょっと躊躇しました。
通して読めるように無駄な部分を省き、栞だけで読んでも意味がわかるようにするためには、まただいぶ書き換えないといけない、という嫌な予感がしたのもあります。
とはいえ、結局栞合本を作ることになり、予想通り、というか、予想以上に書き換えることになりました。
通して読んでダブりがないように、各回の内容がきちんと一本の線になるように、と考えて「はじめに」も加え、全体に渡って加筆修正し、形を整えるのに数日を要しました(泣)。
とくに第1、第2、第6セットの内容は、栞のときとはほぼ別物になっていると言えるでしょう。
というわけで、B6サイズで70ページほどの冊子になりました。
なんとなくですが、小説を書く際、文章についてわたしが考えていることがコンパクトに詰まっているんじゃないかな、と思います。
読んですぐ使えるテクニック集ではありませんし、新人賞をとるためのノウハウも書かれていませんが、まったく役に立たないわけではない(はず)。
小説を書きたい人だけでなく、小説を書くときに書き手がどんなことを考えているのかちょっとのぞいてみたい、という人も、読めばなにか得るところがあるかもしれません。
目次はこんな感じです。
はじめに
1 抜き書きとその目的
2 書くことと書かないこと
3 世界の網目
4 比喩のきらめき
5 語りについて
6 書くことを問い直す
小説を書くときには文章だけではなく、登場人物や展開などについても考えていかなければならないのですが、今回のワークショップの創作課題は5,000字と10,000字でしたから、まずは文章について考えるところから、と思って構成しています(人物や展開についてのワークショップもいつか行えたらいいな、と思ってます)。
栞合本「読むことと書くこと」は、
◎3,000円B(書籍・ワークショップの栞合本・サンクスカード)
◎6,000円(書籍・小冊子・栞合本・ブックカバー・サンクスカード)
◎10,000円(書籍・小冊子・栞合本・ブックカバー・花松あゆみさんZINE&星々運営3サークル雑誌&ほしおさなえ私家版冊子・書籍へのお名前掲載・サンクスカード)
の3つのリターンに入ってます(15,000円のコースもありましたが完売しました)。
栞合本の説明は以上です!
栞合本は内容の加筆修正だけでなく、レイアウトも縦書きに組み直しました。
そして、今後のことについてです。
この状況はいずれおさまっていくとは思うのですが、オンラインツールやSNSを使った活動は、遠方の人でも参加できるなど利点もたくさんある、と感じ、星々の運営スタッフと相談して、しばらくこの活動を続けていくことにしました。
いま考えている計画は以下の通りです。
<作品募集>
・140字小説コンテスト
月ごとにテーマを変え、SNSとサイトのフォームから投稿する、今と同じ形式です。
・短編、掌編小説公募 ←新しい企画です!
ワークショップだと参加できない人がいることも考え、作品公募を行うことにしました。
年に1、2回、10,000字、5,000字の2種類の長さの小説を公募することを考えています。
<雑誌刊行>
応募作から優秀作を選びサイトで公開するだけでなく、雑誌の形にしたい、と考えました。
そのために「星々」を年に1〜2回刊行する雑誌として続けていきたいと考えています。
作品募集についてはこの冬からスタートし、最初の雑誌は来年春刊行を目指します!!
今回は優秀作の掲載のみでしたが、次号からはさらに広い読者に届けるため、記事や読みものを入れることも考えています。
ストレッチゴールの記事に書いたように、書籍が含まれる2,000円以上のリターンをご支援いただいた方には、次号制作が進んだ時点でパイロット版(PDFデータ)を送付いたします。
ワークショップも別の形で続けたいと思っていますが、こちらはもう少し時間がかかりそうですので、少しお待ちください。
雑誌刊行には費用がかかります。
クラウドファンディングで集まった支援金は、今後の活動にも生かしていきたいと考えています。星々の活動を継続していくためにも、さらなるご支援をよろしくお願いいたします!
そして、今後も星々の活動を見守っていただけますとうれしいです!