アニメータートーク ドラマ編②
vol. 31 2022-08-30 0
今回も、川村監督とアニメーターのオカダのインタビュー後編です!
ネタバレになるので詳しくお話しできないのが残念ですが、犬丸の最終兵器についても触れています。
川村:
でもオカダさん的に一番大変だったのは、きっと犬丸の最終兵器*?でもやっぱり甚五郎の方が大変だった??
(注:最終兵器はネタバレになるのであまり詳細をお伝えできずすみません...!)
オカダ:
両方同じくらい大変でしたね(笑)
川村:
あはははは!!!
オカダ:
犬丸の最終兵器が完成したのってクランクインした後だったじゃないですか。
川村:
そうだよね、撮影始まった頃はまだなかったもんね。
オカダ:
クランクインしちゃったら、完成したその最終兵器よりも、今撮影してることにとにかく集中しないとって感じだったんで。
川村:
たしかに触って慣れ親しむ時間はなかったですよね。
オカダ:
そうなんですよ。途中段階のものでしたけど、撮影前に1日だけちょっとテストとして触る時間はあって、でもそれ以外は全くのノープランで。その最終兵器の撮影の前日なんて、「やばい、明日からあのシーン始まる...どうしよう...」っていう状態だったんで(笑)。とりあえず頭の中ではいろいろイメージしてて、固定の仕方とかも考えていろいろ持ち込んだんですよ。でもいざやろうと思ったら、セットの上は照明で埋められてて、吊り具を置くスペースがなくて(笑)
川村:
結局どうしたんですか?
オカダ:
セットの上に角材を渡して、そこに細い針金を結んで伸ばして...
川村:
DIYだ。
オカダ:
犬丸側のカメラから見えないところに木ネジを打って、そこに針金を巻いて、何とか吊れるようにしたりしましたね。それをまた1コマずつ動かしていかないといけないんで(笑)
川村:
あー、、、あのシーンは涙なしでは見れなくなっちゃったな。。。
オカダ:
あっという間に時間過ぎちゃいましたよ(笑)
川村:
重量もあるし、構造も構造だしね。いやー、作ってくれた武内さんもかなり無茶してくれたよね(笑)
オカダ:
そうですねぇ(笑)。あとは八代さんのチェーンソーも、あの小さい中に動かすところがたくさんあって。
川村:
もうね、八代稲積の盛り合いの結果ね(笑)
オカダ:
稲積さんのチェーンソーシーンのテスト映像を見た時に、甚五郎対犬丸って、武器としてはチェーンソー対最終兵器みたいなところもあるわけじゃないですか。あのチェーンソーに勝つために、このシンプルな犬丸の最終兵器をアニメートするにあたって、動かせるパーツが少ないなと思ったりしたんだけど、あれこれ考えて、動かせそうなところを全部動かしてみました。
川村:
ありがたい。そのおかげでリアリティがすごく出たと思うんですよね。武器としてのヤバさや、おもちゃじゃない重量感や兵器感が出たし、その最終兵器にも魂を宿していただきましたね。造形美や重さも活かしてくださったなと。
オカダ:
最終兵器は出番が短いから、その中でどうやって印象的に見せるかを考えながらアニメートしましたね。
川村:
挙動とか、細かく効いてますよね。あと犬丸が最終兵器を起動させる時のガチャコン!って動き、あれめっちゃよかった!!
オカダ:
あーあれ!(笑)
川村:
地味に最高だなと思って(笑)あれってその場の思いつきですよね?犬丸の動きに合わせて何か動かせる?みたいな話はちょろっとしてたけども。
オカダ:
あれはね、時間の余裕があったら動かそうって思ってたんですよ。もういっぱいいっぱいだったらここは端折るしかないなと思ってたんです。それでそのシーンに来た時に時計を見たら夜中の1時で、「...このアニメなら行けるか!」と思って。いっちゃえーーー!って(笑)やっちゃった(笑)
川村:
あははは!いやーすごい効いてましたよ。ああいうのって、見てる人も喜ぶと思うんですよね。細か〜!!って思うと思う(笑)
オカダ:
見る人の目も厳しいと思うし、「コマ撮りだから仕方ないよなぁ」とか言われたらすごい悔しいから、動かせるところは全部動かして「コマ撮りでもいけるんだ」っていうのを見せたかったっていうのもありますね。
(この後、何かをガチャコンする犬丸)
川村:
そういう表現がいろいろできたなって思いますよ。ヒーローショットもめちゃくちゃかっこいいし、あんまり説明するとネタバレになるから言えないけど、本当細かく動いてますもんね。いやぁ、あのサイズのモノをよく動かしてくれましたよ!
オカダ:
今まで動かしたものの中で一番大きかったですよ!(笑)
川村:
でかいし危ないしね(笑)あああ、早く言いたい!
あとはあれだね、「ドリーム」!最後の最後に撮れて本当によかったですよね。
(撮り切れるかわからない程ハードな香盤だったので、このシーンはカットになる可能性が高かったため、現場では「ドリーム」と呼ばれていた)
オカダ:
あれは本当に撮りたかったんですよ。絶対撮ってやる!って思ってた!(笑)
川村:
あはははは!
オカダ:
撮影の前半戦に猫のあくびを撮って、Twitterとかでもたくさん見てもらえて、こういうのを絶対犬でも...!って思ってたんですよ。
川村:
やっぱ犬動画も反応よかったですよね。
オカダ:
でも猫動画ほど伸びてないですよね...たまにチェックして、もっと伸びろよぉ〜!もっと伸びろよぉ〜!って思ってますよ(笑)
川村:
あはははは!(笑)まぁ僕も元来犬派なんで、もっと肘掛犬の人気出て欲しいですよ(笑)
オカダ:
でもまぁ猫は、いかにも猫らしい、猫にとってすごくおいしいカットだったと思うんですよ。あくびっていうのがね。
川村:
まぁね。でも犬も、2カットしか登場しない割にはいい存在感だと思うんですよね。香盤的に撮れるかわからないって言われてた「ドリーム」も撮り切ったし。あの、「僕もう行くね」っていう振り向き、可愛かったですよぉ。
オカダ:
お尻は絶対見せてやろうって思ってたんですよ。八代さんが尻尾も動くように作ってくれてたから、じゃあ動かさないとって(笑)
川村:
「こういう作りならこういう動きさせたくなっちゃう」のバトルがここにもね(笑)。ていうか、肘掛できたんですよ〜って八代さんが持ってきた時に、ただの肘掛のはずが肘掛犬になってたから、みんなで「オカダさん大変ですー!!動きそうなやつできてるー!!」ってなったんだよね(笑)
オカダ:
あの時僕も冗談半分で「アニメートするなら手足と首が動かないと」とか言ったら、翌日動くやつが出てきたじゃないですか(笑)
川村:
無茶苦茶でしたよね、プッシュすると倍返しで戻ってくる(笑)。でもそこから生まれた新しいカット、清涼剤として本当に効いてる。
オカダ:
犬と猫は本当楽しかったですね。
川村:
甚五郎と猫と、犬丸と犬、バランスよかったですよね。ライバル感としてもよかったし、それぞれ危ない野郎どもだから、そこに動物がいるとなんか安心するし(笑)
オカダ:
変に媚びてない、かわいい担当ではない。
川村:
そうそう、でもいるとキュンとする。
オカダ:
だからわざとかわいく動かそうとは思わなかったんですよ。猫らしさ、犬らしさを出せば自然に魅力的な感じになると思って動かしてましたね。撮影前にYoutubeとかで猫のあくびしてる動画を見まくってたんですけど、最初ふわっと口が開いてから、その後更にもっとグァッと2段階に分けて開くんですよ。でも今回の猫の人形は口の開閉しかなくて、下顎全体が動くような仕組みもないので、どうやって猫らしさを出そうかなと思って。最終的には、最初に口を開けて、2段階目は首と口両方使って、それっぽい動きをつけてみました。
川村:
なるほどね。すごいリアルなあくびでしたよね。本当にTwitterでも反応よかったし、木彫とは思えないみたいなコメントもありましたね。ディティールに猫感がすごく出てた。
オカダ:
本当に、猫は楽しかったです。腕を伸ばしてボタン押すところも、いかに少ない稼働箇所で柔らかな動きや猫っぽい動きにするのかを考える工程が本当に楽しかったですね。
川村:
本当にいろいろ動かしてもらいましたね。バラエティ的にはオカダさんが一番いろいろ触ってもらったな。
オカダ:
甚五郎と犬丸も、2人の関係性を想像しながらどういう動きにしようかなって考えてるのもすごく楽しかったです。決め決めじゃなかったから、考える余白がたくさんあって。
川村:
そう言ってもらえると嬉しいなぁ。
オカダ:
いやーでもパイロット版でここまでクオリティ高いものやりきっちゃうと、本編作る時はパイロット版のレベルじゃ見る人も満足できなくなっちゃいますよね(笑)
川村:
いやーーそうだよね。人形とかセットも、もうめっちゃでっかくなっちゃったりとかするかもね(笑)
オカダ:
あはははは!腕立てして、体力つけて準備しておきます(笑)