コラム08:薩摩藩主が贈った平家琵琶
vol. 10 2023-09-18 0
皆様こんにちは、鈴木まどかです。
本日は、平曲伝承を救った人物が麻岡検校に贈った琵琶についてお話します。
江島杉山神社は銘「漣漪(さざなみ)」という平家琵琶一面を所蔵しています。
※平家琵琶の数詞は「面」です。
平家琵琶の演奏会があるときに拝殿に飾って下さいます。
この琵琶を収めている漆塗りの箱の蓋裏に、琵琶の由縁が記されています。
「(意訳):京都の楽器工房「長田」が製作。
寛政頃には京都の松浦検校が所有。
薩摩藩主の島津斉興が麻岡検校に贈る。
麻岡検校の次に「平家宗匠」となった福住検校が所有。
文久二年福住順賀一」
ちなみに福住検校の父は旗本筒井政憲で、
黒船来航の折に下田でプチャーチンと会談した一人です。
同じくプチャーチンと会談した旗本の青山弥惣右衛門は平曲の相伝者で、
一時期は回向院の近くに屋敷がありました。
なおこの琵琶収納箱の蓋は、このたびの江島杉山神社創建330年記念事業の一環で、
破損部分や記述部分の修復保存が行われるとのことです。